期日 | 平成18年3月18日(土)・3月19日(日) |
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会場 | 麻田総合病院(香川県丸亀市津森町219番地) |
テーマ | 「医療・看護とコミュニケーション 」 |
第16回学術学会会頭:香川勇(麻田総合病院 副院長)
平成17年度の学術学会は「医療・看護とコミュニケーション」というテーマで、学会発祥の地である山陰地域を離れて香川県丸亀市で開催する運びとなりました。
昔から言葉には霊威が宿るといわれ「言霊(ことだま)」という字句がありますが、医療や看護の場でも美しい言葉には心の傷を癒す力があります。さりげない言葉には、現代社会では希薄になりつつある「おもいやり」や「共感性」を呼び起こす効果があります。ストレスや不安を抱える人達にみられる「身体表現性障害」と呼ばれる体調不良も、その症状の背景には、周りに何かを訴えたいという気持ちがあると言われます。診療の合間に世間話や趣味の話をしている時、ふと患者さんが本音を語ってくれることがありますが、病気のことで頭が一杯の人達にはむしろその方が気が休まるのかも知れません。それをきっかけにして、それまで気付かなかった的確な診断が得られることもあります。患者さんとのコミュニケーションの秘訣は、案外そんなところにあるのかもしれません。
近年アメリカでは、医療提供者が説明する内容を患者さんや家族が理解できない「医療文盲」ということが問題になり、患者さん達に納得してもらうため膨大な医療情報を説明する必要性がいわれています。医療従事者に比較すると、患者さん達が持っている医療情報は質、量ともに劣り、コミュニケーションギャップが生じるためです。一方、実際の診療の場では言葉には頼らないコミュニケーションの方法も数多く見られます。例えば「タッチ」という行為一つをとっても、触れる場所や強弱によって言葉には表せない微妙な違いを表現することが出来ます。また医療や看護の場では「笑い」は不謹慎というイメージからタブー視されがちですが、「笑顔」が不思議な安心感を与えてくれるのも事実です。「笑い」は人間だけが持っている特性ですが、抑制の効いた「笑い」は医療コミュニケーションのツールとして特異な位置付けを受けるのでないでしょうか。
医療コミュニケーションという課題を通して、人々の触れ合いや感性のすばらしさをもう一度見直し、医学看護学教育の場に反映させて行くことは大変有意義なことです。瀬戸山会長が提唱される「患者さんを中心にした医療」という言葉の真骨頂もそこに在るのでないでしょうか。学会発祥の地、出雲から少し遠くなりますが、瀬戸内海に面する城下町、香川県丸亀市で大勢の皆様とお会いできることを楽しみにしております。
講師:池本よしこ氏(ディア・フォロン代表取締役会長、企業活力支援士)