学術学会バックナンバー

第18回日本医学看護学教育学会学術学会

期日 平成20年3月8日(土)・3月9日(日)
会場 ビッグハート出雲
(島根県出雲市駅南町1丁目5番地)
テーマ 「医学看護学教育と医療改革」

第18回日本医学看護学教育学会学術学会開催にあたって

第18回学術学会会頭 塩飽邦憲(島根大学医学部環境予防医学教授)

第18回日本医学看護学教育学会学術学会をお世話させていただくことになりました。一昨年、昨年の本学術学会は四国の丸亀市と高知市で盛大に開催されましたが、第18回学術学会は、古巣の出雲市で開催される運びとなりました。

最近の医療や教育の環境は厳しいものがあります。平成14年度から始まった医療制度改革は、1)利用者の視点に立った効率的で、安心かつ質の高い医療の提供、2)健康寿命を延ばし、生活の質を高める保健医療サービスの提供、3)国民に信頼される持続可能で安定的な医療保険制度の構築を目標に、着々と進められています。

これまでの改革過程で目立っているのは、「持続可能で安定的な医療保険制度の構築」のために、中長期の展望に立った持続可能で安定的な高齢者医療制度の構築、多様な医療ニーズへの対応、医療費の効率化の観点からの診療報酬や薬価制度の見直し、厳しい経済状況の下での医療保険財政の安定化です。一方、「安心かつ質の高い医療の提供」のために、医療安全確保対策の推進、患者の選択に資する情報提供の推進、医療従事者の質の向上などによる医療の質の向上、IT 化や医療機関の機能分化・連携の促進による医療提供の効率化は、直接、医学看護学の卒前教育機関や卒後研修機関に関わる課題となっています。また、予防医学の医学看護学教育を担当している当講座には、生涯を通じた健康づくり、疾病・介護予防の充実、高齢者の心身の特性にふさわしい医療の確立、予防と治療のための医学研究の推進とその成果の活用が今後の研究・教育・社会貢献の課題として課せられています。

こうした厳しい医療制度改革の中で、卒前・卒後の医学看護学教育を担当する教育・医療機関、それを担うスタッフに何が求められているかを明らかにし、これまでの本学会の成果と今後の課題を明らかにしたいと考え、「医学看護学教育と医療改革」を学術学会のテーマとしました。瀬戸山元一氏会長に「医療改革の動向と日本医学看護学教育学会の役割」と題する会長講演をお願いしました。学会員の皆様にもこのような広い視野から、それぞれの持ち場で努力されていることを発表いただければ幸いです。

また、第18回学術学会での新しい試みとして、学会前日に2つのテーマで研修会を企画いたしました。現在話題となっている感染症と糖尿病に対して、国際的な視野に立って、学問的な裏付けを持ちながらも実践的な取組みをされてきた2人のエキスパートに御講演を頂きます。感染予防管理コンサルタントの浦野恵美子氏には「病院内感染マネジメント」、日本糖尿病学会の役員として長年ご活躍の武田 倬氏には「糖尿病up to date」の御講演をお願いしました。学生や新人スタッフにも理解しやすい御講演をお願いしておりますので、多数の方にご参加いただければと存じます。

会長講演

「医療改革の動向と日本医学看護学教育学会の役割」

講師:瀬戸山元一氏(同志社大学大学院総合政策科学研究科 チェア・プロフェッサー)
会場:ビッグハート出雲 白のホール

日程

平成20年3月8日(土)

  • 14:00-15:20 研修会1(ビッグハート出雲 白のホール)
    「病院内感染マネジメント」浦野恵美子氏(感染予防管理コンサルタント)
  • 15:30-17:00 研修会2(ビッグハート出雲 白のホール)
    「糖尿病up to date」武田 倬氏(鳥取県立中央病院 院長)
  • 15:00-16:50 理事・評議員会(ビッグハート出雲 茶のホール)
  • 17:30-19:30 懇親会(ビッグハート出雲 レセプションスペース)

平成20年3月9日(日)

  • 9:00  受付
  • 9:45  開会挨拶
  • 10:00〜11:30  一般演題発表
  • 11:40〜12:10  総会
  • 13:10〜14:00  一般演題発表
  • 14:30〜15:50  会長講演
  • 15:50  閉会

第18回日本医学看護学教育学会学術学会を終えて

学術学会会頭 塩飽邦憲(島根大学医学部環境予防医学)

2008年3月8-9日に島根県出雲市 ビッグハート出雲で第18回学術学会を開催させていただきました。全国から多数の学会員の皆様にご参加いただきましたことにまず感謝申し上げます。特に、和歌山県立大学保健看護学部からはバスを仕立てて看護学生を含む多くの皆様に参加いただき、大いに学会を盛り上げていただきました。

一般演題は学会員から40題の出題いただきました。医学看護学栄養学の教育方法や学習評価、臨床看護実践や緩和ケア、患者や住民への健康教育など多岐にわたる内容で、例年のように学生や若いスタッフによる発表が目立ちました。本年4月から特定健康診査・特定保健指導が開始されることから、メタボリックシンドロームなど生活習慣病に関する発表も7題と多かったのが特徴でした。

学生や若い学会員の皆さんが、パソコンを使って決められた時間内にわかりやすい発表をされていたのが印象に残っていました。また、座長をお引き受けいただいたベテランの学会員やフロアからは、鋭い指摘を含みながら教育的なご助言を頂きました。発表された学会員におかれましては、学会での討論を参考に学術論文に仕上げていただくことを願っております。

最近の医療や教育の環境は厳しいものがあります。2002年度から始まった医療制度改革は、1)利用者の視点に立った効率的で、安心かつ質の高い医療の提供、2)健康寿命を延ばし、生活の質を高める保健医療サービスの提供、3)国民に信頼される持続可能で安定的な医療保険制度の構築を目標に、着々と進められています。

これまでの改革過程で目立っているのは、「持続可能で安定的な医療保険制度の構築」のために、中長期の展望に立った持続可能で安定的な高齢者医療制度の構築、多様な医療ニーズへの対応、医療費の効率化の観点からの診療報酬や薬価制度の見直し、厳しい経済状況の下での医療保険財政の安定化です。一方、「安心かつ質の高い医療の提供」のために、医療安全確保対策の推進、患者の選択に資する情報提供の推進、医療従事者の質の向上などによる医療の質の向上、IT化や医療機関の機能分化・連携の促進による医療提供の効率化は、直接、医学看護学の卒前教育機関や卒後研修機関に関わる課題となっています。また、予防医学の医学看護学教育を担当している当講座には、生涯を通じた健康づくり、疾病・介護予防の充実、高齢者の心身の特性にふさわしい医療の確立、予防と治療のための医学研究の推進とその成果の活用が今後の研究・教育・社会貢献の課題として課せられています。

こうした厳しい医療制度改革の中で、卒前・卒後の医学看護学教育を担当する教育・医療機関、それを担うスタッフに何が求められているかについての本学会の成果と今後の課題を明らかにしたいと考えました。このために、新しい試みとして学会前日に2つのテーマで研修会を企画いたしました。現在話題となっている感染症と糖尿病に対して、国際的な視野に立って、学問的な裏付けを持ちながらも実践的な取組みをされてきた2人のエキスパートに御講演を頂きました。感染予防管理コンサルタントの浦野恵美子氏には「病院内感染マネジメント」、日本糖尿病学会の役員として長年ご活躍の武田 倬氏には「糖尿病up to date」の御講演でした。理事・評議員会と重なったために役員が参加できず、プログラム構成に課題が残りましたが、聞いていただいた学会員からは学ぶことが多かったとのコメントを頂きました。学術学会でこうした教育講演的な内容を定着できればと願っています。

瀬戸山元一会長には「医療改革の動向と日本医学看護学教育学会の役割」と題する会長講演をお願いしました。この講演では、医療を取り巻く外部環境と内部環境の変化、医療政策動向と医療崩壊の現実、医療水準は医療スタッフの質に依存することから人材育成の重要性を強調され、本学会の進むべき方向を明確に示していただきました。瀬戸山会長は本総会を期に会長を降りられました。これまでの長年のご尽力に会員を代表して感謝申し上げますとともに、今後とも本学会をご指導いただきますようお願い申し上げます。

会頭である私の私的なアクシデントで参加された学会員の皆様、また学会運営を担当した当講座のスタッフには大変御迷惑をおかけいたしました。何かと不行き届きの点が多かったと存じますが、ご容赦いただければ幸いです。

瀬戸山会長の後の2008年度は、塩飽が会長業務を代行させていただきます。瀬戸山会長には力は及ぶべくもありませんが、竹内副会長をはじめ、有能な理事、評議員のご支援・ご鞭撻を頂き、精一杯勤めを果たす所存です。学会員の皆様にもご協力を賜りますようお願い申し上げます。