学術学会バックナンバー

第19回日本医学看護学教育学会学術学会

期日 平成21年3月7日(土)・3月8日(日)
会場 和歌山県立医科大学保健看護学部
(和歌山市三葛580番地)
テーマ 「次世代の医療人の育成−種々の医療職の真の連携をめざして−」

第19回日本医学看護学教育学会学術学会のご案内

第19回学術学会会頭 有田幹雄(和歌山県立医科大学保健看護学部)

第19回日本医学看護学教育学会学術学会をお世話させていただくことになりました。

学会は、豊かな自然に恵まれた癒しの地、紀州和歌山市で開催させていただきます。会場は和歌山市の南、早咲き桜の名所として知られている紀三井寺の近くにあります和歌山県立医科大学保健看護学部です。本学部は平成16年に質の高い保健看護職の人材育成を目的に設立され、今年は大学院保健看護学研究科と助産学専攻科が開設され、医療に関する志の高い学生が入学し躍進の年となりました。

近年、科学技術は著しく進歩し、保健医療は高度化、専門化しており、また少子高齢化の急速な進展、国民の生活水準の向上や意識の変化などに伴い、社会の保健医療に対するニーズは高度化、多様化しています。

また、最近の医療費抑制と医療に対する質や安全性の要求により、医療は非常に厳しい状況にあります。こうした医療を取り巻く環境の変化の中で、卒前・卒後の医学看護学教育を担当する教育・医療機関、それを担うスタッフに何が求められているか、これまでの本学会の成果と今後の課題を明らかにしたいと考え、「次世代の医療人の育成--種々の医療職の真の連携をめざして--」を学術学会のテーマとしました。チーム医療という言葉は広まっていますが、真の連携は難しいのが現実です。「質の高い医療人とはどのような人材なのか?」「次世代に何が求められているのか?」学会員の皆様にもこのような広い視野から、それぞれの持ち場で努力されていることを発表して頂ければ幸いです。

前日の3月7日(土)には学会員の親睦を諮るために、堅苦しくない形式での懇親会を開催いたします。和歌山市で開かれる第19回日本医学看護学教育学会学術学会に、是非、大勢の会員のご参加を賜りますようにお願い申し上げます。

特別講演

「医療職の専門性を磨き、患者さんを中心に連携する」

講師:塩飽邦憲(島根大学医学部環境保健医学講座教授)
要旨:急性期・慢性期医療の分離、入院期間短縮に伴う転院、医療と介護福祉の役割分担、糖尿病など生活習慣病の増加によって保健医療福祉機関の間での連携は重要性を増している。保健医療福祉機関の間での連携は、各々の機関の主体性を尊重し、医療情報ネットワークや連携パス等を活用し、目的と情報を共有しながら着実に進められている。一方、医療機関内での他職種連携は、電子カルテやマネジメントシステム(安全、感染、栄養など)の導入によっても着実に前進しているとは言いがたい。この課題の原因には、医療職各々の専門性や態度、管理職のリーダシップと縦割り教育など多くの要因が関係しているが、本講演では医療職各々の専門性に焦点を当てながら、連携の意義と仕組みを考え、教育・研修方法の改善策を提案する。
会場:和歌山県立医科大学保健看護学部 大講義室

日程

各種締めきり

  • 演題申し込み・抄録締めきり 平成20年12月19日(金)平成21年1月16日(金)(延長しました)
  • 参加申込締め切り 平成21年2月20日(金)

平成21年3月7日(土)

  • 15:30-17:30 理事・評議員会 (保健看護学部 大会議室)
  • 18:00-19:30 懇親会(保健看護学部 レセプションホール)

平成21年3月8日(日)

  • 9:00 受付
  • 9:30 開会挨拶
  • 9:45-11:30 一般演題発表
  • 11:40-12:10 総会
  • 13:10-14:00 一般演題発表
  • 14:20-15:30 特別講演
  • 15:30 閉会

第19回日本医学看護学教育学会学術学会を終えて

学術学会会頭 有田幹雄(和歌山県立医科大学保健看護学部)

2009年3月7〜8日に和歌山県立医科大学保健看護学部にて第19回日本医学看護学教育学会学術学会を開催させていただきました。当初心配されていた天候も両日とも早春の日差しに恵まれ、200名近くの皆様にご参加いただきました。万葉の時代より三葛の地にあり、西国第二番札所紀三井寺を懐に抱く名草山と天下の名勝和歌の浦などの名所を楽しんでいただけたのではないかと思っております。近畿圏を始め、鳥取、島根、広島、遠くは首都圏、函館からのご出席もいただき、口説発表が32題、示説発表が11題のなかで、活発な発表、討議をしていただきました。今回のテーマは「次世代の医療人の育成〜種々の医療職の真の連携をめざして〜」でした。

特別講演には長年にわたり本学会の運営に貢献され、今回本学会の会長に就任された塩飽邦憲島根大学教授にお願いし、「医療職の専門性を磨き、患者さんを中心に連携する」という演題でお話をいただきました。家庭生活を拠点とし、人間の尊厳のため医療人が専門性を発揮して連携していく必要性と専門知識形成の段階別の学習(教育)について多くの示唆をいただきました。医療職は「病める人」に何ができるか?医療職は何をどのように磨くべきか?と問われ、「知」の伝統を育む文化の形成の必要性を提言されました。深い経験知(Deep Smart)、専門知識の獲得、10年ルール(専門職となるため、初心者から見習い・ベテラン・エキスパートへと進展していく過程は10年かかる)、「信念」、現場に真に役立つ研究の重要性、何事も当事者参加が基本であるなど、医師として、教育者として、又医療人としての豊富なご経験に基づくお話は次世代の医療人育成をテーマに掲げた今回の学会にふさわしい内容であったと思います。塩飽先生には、今後とも本学会の発展の為にご指導くださいますようお願い申し上げます。

一般演題は健康教育1、2、チーム医療、看護管理1、2、精神保健、看護教育1、2、小児保健、示説1、2、と幅広い観点からの発表がみられました。会場の都合上、3会場に分かれての発表となり、全てを聴くことができなかったのは残念ですが、各会場とも多くの聴衆が熱心に討議されていました。初心者からベテランの方々まで日々の取り組みについての発表がありました。問題点の把握と厳しいなかでも温かい批判的精神に基づく質疑応答は論理力の育成に不可欠であり、会員の皆様の研究に関しての質の向上に役立つものと思われます。発表に対し、ご指導して頂いた座長の方々の優しくかつ科学的視点からの配慮も会場のすみずみまで浸透した学会になったのではないかと感じています。また、他の学会と異なり、今後の研究の発展を促すような素晴らしい励ましの質問が多くみられ、これも本学会の伝統文化ではないかと考えています。学会発表しただけで終わるのではなく、是非、発表した内容を学会誌に投稿して頂きたいと思います。多くの人々に内容を理解し、評価していただくには文章化していくことが重要だと思います。今後、学会で発表した内容を学会誌に投稿されたなかから、優秀論文の表彰などが考えられておりますので、会員の皆様のご投稿をお願い申し上げます。

前夜の懇親会にも遠方より多数のご参加をいただき大変嬉しく思っております。本学キャンパス内での手作りパーティでしたが、和やかな雰囲気のなかで楽しいひと時をお過ごしいただけたのではないかと思っております。なお、懇親会、学会の開催に関しましては、本学教職員を中心とした運営ということもあり、何かと行き届かなかった点も多々あったことと存じますが、ご容赦の程、お願い申し上げます。今後とも皆様のご協力を得て質の高い学会に発展していくことを願っております。