「第25回日本医学看護学教育学会学術セミナーを終えて」を掲載しました。
日時 | 2022年11月19日(土)13:00-16:00 |
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会場 | 島根大学医学部看護学科棟 N11(〒693-0025 島根県出雲市塩冶町89-1) |
開催方法 | 対面とWEBのハイブリット |
テーマ | 「多様性のマネジメント」 |
臨床現場は、年齢、性別、人種、国籍、職歴、職種、働き方、ライフスタイルなど様々な属性及び価値観を持つ人々で組織されています。
特に看護の現場においては夜勤負担の軽減、時間外労働の削減などの持続可能な働き方や個人の特性を活かした教育、ライフイベントに応じたキャリア支援が行われてきました。 多様性は看護職員がいきいきと自分らしく働くためにも推進しなくてはいけませんが、一方で、多様性を推進すると、個人の価値観、労働条件、感情の対立といったコンフリクトも発生することもあり、このコンフリクトの処理が課題となります。
本セミナーでは経験豊かな方々を講師・シンポジストとしてお招きし、多様性について理解し、多様性をいかしながらも、組織や個人のパフォーマンスを高めるマネジメントを行うためにはどうすればいいか考える機会にしていきます。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
講師:松浦正子(日本赤十字豊田看護大学基盤育成看護学 教授)
座長:田中真美(島根大学医学部附属病院 看護部長)
「ダイバーシティ推進の立場から」
河野美江(島根大学保健管理センター 教授・学長特別補佐ダイバーシティ推進担当)
「基礎看護教育の立場から」
宮本まゆみ(島根大学医学部基礎看護学講座 講師)
「看護管理者の立場から」
田中真美(島根大学医学部附属病院 看護部長)
「社会人経験後に看護職をめざした看護職の立場から」
小室淳(島根大学医学部附属病院 副看護師長)
座長:古賀美紀(島根大学医学部基礎看護学講座 教授)
〒693-0025 島根県出雲市塩冶町89-1 島根大学医学部附属病院 本部棟
島根大学医学部看護部・看護学科(担当:田中真美)
TEL:0853-20-2478
E-mail:jamne.25@med.shimane-u.ac.jp
一般財団法人恵雲会
実行委員長:田中真美(島根大学医学部附属病院)
第23回日本医学看護学教育学会学術セミナーを「多様性をいかすマネジメント」のテーマで11月19日(土)に開催いたしました。出雲の地は、11月(旧暦10月)神無月には、全国の神々が出雲大社に集まるという伝承があり神在月(かみありづき)とよばれています。当初は、その月に島根県出雲市で開催を予定し、他県からも多くの皆様に対面でご参加をしてて頂きたく思っておりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の影響により、誠に残念ながらオンラインを併用した開催としました。その中で、他県からオンライン参加の皆様も併せて100名近くの方にご参加頂くことができました。皆様のご支援ご協力により盛会に終了することができましたことに深謝申し上げます。
臨床現場は、年齢、性別、人種、国籍、職歴、職種、働き方、ライフスタイルなど様々な属性及び価値観を持つ人々で組織されています。特に看護の現場においては夜勤負担の軽減、時間外労働の削減などの持続可能な働き方や個人の特性を活かした教育、ライフイベントに応じたキャリア支援が行われてきました。多様性は看護職員がいきいきと自分らしく働くためにも推進しなくてはいけませんが、一方で、多様性を推進すると、個人の価値観、労働条件、感情の対立といったコンフリクトも発生することもあり、このコンフリクトの処理が課題となります。本セミナーでは経験豊かな方々を講師・シンポジストとしてお招きし、多様性について理解し、多様性をいかしながらも組織や個人のパフォーマンスを高めるマネジメントを行うためにはどうすればいいか考える機会にしていきたいと考え開催いたしました。
学術セミナーの開催にあたり、学会長山下一也先生に会場までお越し頂き開会の辞に際してご参加して頂いた皆様への感謝を代表して伝えてくださったうえに社会情勢の変化に伴う多様性の理解について貴重なお言葉を頂きました。その後、基調講演、シンポジウムの2部構成で行いました。基調講演では、「病院組織におけるダイバーシティ・マネジメント」と題して学会講演等、数多く多様性のマネジメントにおける講演を全国的に手掛けられています日本赤十字豊田看護大学教授の松浦正子先生にご講演を頂きました。講演の中では、ダイバーシティ(多様性)にはどのような意味があるのか、属性(表層性)、価値観(深層性)の多様性において日本では表層的次元が中心となっている傾向にあり、今後は、価値や認識を含めた深層的ダイバーシティに着目する必要がある。多様なメンバーからなる組織では、多様性をいかそうとすればするほどコンフリクトが生じる可能性がある。多様性を活かすマネジメントしていくことは容易ではないが、複雑化する外部環境に適応していくためには、職場全体で取り組んでいくこと。互いの違いを認め目標に向かって協働していくこと、違いを認めることでコンフリクトの軽減につながるという主旨のご講演を賜りました。参加者のアンケートからは、「相互理解がいかに大切か認識できた」「コンフリクトを否定的なものととらえずに多様性をどう生かしてマネジメントしていくかが大切であると学んだ」等の感想があり、今後の組織活動に活かしていくことができる内容として好評を得ました。
シンポジウムでは、島根大学医学部基礎看護学教授の古賀美紀先生座長のもと「多様性をいかすマネジメントを考える」をテーマに4人の先生にお話しして頂きました。島根大学学長特別補佐の河野美江先生には、ダイバーシテイ推進の立場から事例をもとに活動の実際を、当大学の基礎看護学講座の宮本まゆみ先生には、基礎看護教育の立場から若い世代の学生と教員の価値観とのコンフリクトの実例を紹介され教育現場において柔軟な対応が求められていること、小室 淳副看護師長からは、社会人経験後に看護職をめざし入職した際の経験をもとに臨床現場での教育体制の在り方、看護管理者の立場から多様化している看護職員の対応により生じている組織内コンフリクトをもとに管理者としての対応等の発表があり参加者の方とともに考える機会となりました。参加者の方からは、教育現場の多様性への対応状況の共有やそれぞれの現場で生じている課題について意見交換をする場となりました。あらゆる現場で生じている多様性の現状とその対応を共有できたことでテーマをより具現化することができるシンポジウムとなりました。
セミナー終了後のアンケートでは、「様々な立場からの話が聞けてダイバーシテイを再考する機会となった」「仕事上の苦悩に沿った内容であった」「最近の教育現場の現状を知る事が出来た」「コンフリクトが生じてもお互いに理解し合い目的目標を一致させることが重要であることがわかった。」等の意見があり研修満足度評価において、5点満点中回答者平均4.1点の評価点を得ることができました。
複雑化していく外部環境に適応していくためには、個々の価値観も多様でそれを理解する柔軟性が必要であり、コミュニケーションを通して、相互に理解し、多様性をいかしながら組織内で連携し協働していくこと等、組織内のダイバーシティマネジメントについて考える大変貴重な機会となったのではないかと思います。
今回、オンライン開催の併用開催となり、不手際が多い準備において参加者の皆様には多くのご心配をおかけいたしましたにもかかわらず申し込みをして頂きました皆様にご参加頂き誠にありがとうございました。山下学会長はじめ、学会評議員の皆様、事務局の皆様には、多大なるご尽力を頂き誠にありがとうございました。また、セミナー運営にあたり関わって下さった運営委員の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。最後に、今後は現地で通常開催となり皆様にお目にかかれますように祈念致します。