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『日本医学看護学教育学会誌』第18号(2009年8月31日発行)

原著 慢性呼吸器疾患患者のストレス対処行動に関する研究 原田秀子、中谷信江
原著 就職前の1対1同行研修は早期離職対策になり得るか 杉田塩 1、岡田綾 2
原著 エニアグラムを用いた新人看護師への指導方法の有効性 曽根あゆみ ほか
原著 効果的な喫煙防止教育についての検討
―健康教育に関わる大学生の喫煙状況から―
柳谷奈穂子 ほか
原著 看護学生のユーモア態度とユーモア意識に関する調査 小林玲子 ほか
原著 大学入学時の看護学生の健康観とライフサイクル各期に発生した健康問題を捉える視点の特徴 新宮典子 1、樽井惠美子 2
原著 低位前方切除術後患者に排便機能障害が及ぼす心理的影響とその対処 辻あさみ、鈴木幸子
原著 がん患者と家族ががんという病気を通して体験した様相 飯野矢住代 ほか
原著 eラーニング導入による看護学生の学習支援ニーズと情報活用の実践力、及び看護実践力への影響 古山美穂 ほか
原著 アルコールゲル擦式手指消毒の手技による手指消毒教育の効果と持続性の検討 田村友耶 ほか
原著 羞恥心軽減に対する看護学生の配慮の実態と指導方法 牧野映里、原田広枝
原著 臨床看護師が感じている新人看護師への期待認識
−大学卒業者と専門学校卒業者の比較考察−
佐久間和幸ほか
原著 Support for Cancer Patients and their Family and Training of Cancer Help Net(CHN) Volunteers Yasuyo Iino, MS. RN.

慢性呼吸器疾患患者のストレス対処行動に関する研究
Study about Stress Coping Behavior of the Chronic Respiratory Disease Patient

原田秀子、中谷信江
Hideko Harada, Nobue Nakatani
山口県立大学看護栄養学部
Faculty of Nursing and Nutrition Yamaguchi Prefectural University

概要(Abstract)

本研究の目的は、慢性呼吸器疾患患者のストレス対処行動の傾向を明らかにすることである。呼吸器障害者団体主催の勉強会への参加者を対象にして、改訂版Jalowiec Coping Scaleを用いて療養生活におけるストレスへの対処方法についての調査を行った。対象者の診断名は肺気腫が6割を占めていた。罹患年数は5年以上が9割、在宅酸素療法の利用者は7割であり、過去1年間の救急受診および入院経験がない者はいずれも7割であった。対処方法の使用頻度は、「前向きに考えようとした」が最も高く、「問題に振り回されないよう通常通りの生活をしようと心がけた」、「運動や身体活動をおこなった」の順であった。用いた対処方法の有効性は、「問題を専門家に相談した」が最も高く、「運動や身体活動をおこなった」、「問題に振り回されないよう通常通りの生活をしようと心がけた」の順であった。このことから、医療職を主とする専門家に相談することで解決しようとする対処方法が最も有効と捉えていることがわかった。また、2位と3位の項目は使用頻度も多かった対処方法であり、いずれも情動中心型の対処であった。前向きに考えること、体を動かすことが感情をコントロールする上で有効であり、有効と感じた対処方法は繰り返し用いる傾向があることがわかった。

キーワード(Keywords)

慢性呼吸器疾患、療養生活、ストレス、対処行動
chronic respiratory disease, medical treatment life,stress, coping behavior

就職前の1対1同行研修は早期離職対策になり得るか
Can "one-on-one training with a nurse before starting on the job" become the measures of early turnover?

杉田塩 1、岡田綾 2
Shio Sugita,Aya Okada
1 厚生労働省医政局看護課(前 順天堂大学医学部附属順天堂医院看護部) 2 順天堂大学医学部附属練馬病院看護部(前 順天堂大学医学部附属順天堂医院看護部
1 Nursing Division, Health Policy Bureau, Ministry of Health, Labour & Welfare (ex. Department of Nursing, Juntendo University Hospital) 2 Department of Nursing, Juntendo University Nerima Hospital (ex. Department of Nursing, Juntendo University Hospital)

概要(Abstract)

平成18年度の診療報酬改定による看護職員配置7対1の新設により看護師確保は病院経営上の課題である。
当院では、医療・看護を実際に体験学習することにより当院のハード・ソフトの両面から理解を得ることおよび大学病院就職後の臨床におけるリアリティショックの緩和を目的に7月〜9月に就職活動中の学生を対象としたナーシングサマースタディという就職前研修を企画・実施している。研修方法は1人の看護師に1人の学生が同行するという方法をとっている。今回、この就職前研修への参加と早期離職との関係を検証することを目的に就職前研修参加者数、受験者数、就任者数、就任者の1年以内の早期離職状況の検討を行った。その結果、参加者の早期離職者の割合は研修に参加しなかった人と比較して有意に少ない割合であり、就職前研修は早期離職対策に有効な手段の一つとなることが明らかになった。そして、学生の主体的な就職前研修への参加は学生と病院のマッチングの判断が可能である点において、就職前研修の開催意義があるものと考えられた。

キーワード(Keywords)

新任看護師、1対1同行研修、就職前研修、早期離職
new nurse, one-on-one training, training beforestarting on the job, early turnover

エニアグラムを用いた新人看護師への指導方法の有効性
Effectual of instruction for newcomer nurse

曽根あゆみ、松本紀子、西早苗、金井真紀子、松尾友子、天鷲尚子、大澤智美、後藤享子
Ayumi Sone, Noriko Matsumoto, Sanae Nishi, Makiko Kanai, Yuko Matsuo, Naoko Amawashi, Tomomi Osawa, Kyoko Goto
京都府立医科大学附属病院 PICU
University Hospital Kyoto Prefectural University of Medicine

概要(Abstract)

看護職はストレスの多い職種であり、特に就職した時期は不安やストレスも多く、多大なストレス状態にあると予測される。そこで、新人看護師の教育方法を個人の性格特性に合わせることで、新人看護師のストレス軽減につながるのではないかと考えた。職場のストレスマネージメントとして同僚のエニアグラムによる性格特性を知り、他者理解と受容を図ることがストレス低減につながるという報告がある。以上のことから、エニアグラムを使用し、そのタイプ別に応じた関わりや指導を行い、その有効性について検討した。分析の結果6ヶ月において一部のストレス反応では効果は確認された。しかし、全体としては有効であるとはいい難い結果であった。しかし、エニアグラムの使用が新人看護師とプリセプターとのコミュニケーションを広げる手段の一つとなるのであればその活用は期待できると思われる。また、適応時期に関わらず、常に指導方法を見直し、新人看護師の成長に合わせた指導方法を考え実践していくことが大切である。

キーワード(Keywords)

エニアグラム、ストレス、新人看護師、プリセプター

効果的な喫煙防止教育についての検討
―健康教育に関わる大学生の喫煙状況から―
An Investigation of Effective Education for Smoking Prevention: Reflections from Smoking Context of University Students engaging Health Education

柳谷奈穂子 1、小内彩子 2、水田真由美 3、森岡郁晴 3
Naoko Yanagitani 1, Ayako Kouchi 2, Mayumi Mizuta 3, Ikuharu Morioka 3
1 労働者健康福祉機構和歌山労災病院、2 和歌山市西保健センター、3 和歌山県立医科大学保健看護学部
1 Japan Labour Health and Welfare Organization Wakayama Rosai Hospital,2 West Health Center of Wakayama City,3 School of Health and Nursing Science, Wakayama Medical University

概要(Abstract)

大学生の喫煙状況や喫煙防止教育の受講経験とその喫煙への影響等を明らかにし、今後の効果的な喫煙防止教育を考察する目的で調査を行った。対象者は保健看護学部生158名、医学部生123名、教育学部生87名の合計368名であった。方法は無記名の自記式質問調査を行った。喫煙開始年齢は男性20歳、女性18歳が最多で、次いで男女とも14歳であった。男性が習慣的に吸い始めた年齢は20歳が最多で、次いで19歳、16歳が多かった。喫煙に関係する知識は、喫煙者が他の群に比べて有意に低かった(p<0.05)。また、喫煙状況と喫煙防止教育を受けた時期を比較した結果、小学校で教育を受けた者に喫煙習慣が少なかった(p<0.05)。効果的な喫煙防止教育についての意見では「正しい知識を教える」「大人が喫煙しないことが効果的」「受動喫煙の害を強調する」「実感を得ることができる教育」「視覚的な教材を用いる」「体験談を聞く」が挙げられた。また、小学校高学年に初回防煙教育を受けた者は習慣的に吸い始めた年齢が遅いことから、喫煙防止のためには小学校高学年から教育を始め、中学・高校・大学入学・20歳時に継続的に教育を実施することが効果的であることが示唆された。

キーワード(Keywords)

喫煙防止教育、喫煙状況、健康教育、大学生、青少年
Smoking prevention education, smoking context,health education, university student, young people

看護学生のユーモア態度とユーモア意識に関する調査
Attitude and realization of humor among nursing students

小林玲子 1、松山明子 2、坂井亜侑美 3、内村達也 1、森岡郁晴 4、鈴木幸子 4
Reiko KOBAYASHI, Akiko MATSUYAMA, Ayumi SAKAI, Tatsuya UCHIMURA, Ikuharu MORIOKA, Yukiko SUZUKI
1 和歌山県立医科大学附属病院看護部、2 大阪市立大学大学院看護学研究科 3 和歌山市保健所、4 和歌山県立医科大学保健看護学部 1 Wakayama Medical University Hospital, 2 Graduate School of Nursing, Osaka City University,3 Wakayama City Public Health Center, 4 School of Health and Nursing Science, Wakayama Medical University

概要(Abstract)

本研究は対人関係を基盤に成り立つ看護職を目指す看護学生のユーモア態度の特性やユーモアに関する意識を明らかにし、今後のユーモアの学習に寄与することを目的とした。A大学看護学生(3年生、4年生)123名、B短期大学保育学生(1年生)97名の計220名の女子学生を対象に、攻撃的・遊戯的・支援的の3つの下位尺度からなるユーモア態度尺度調査とユーモアの必要性、学ぶ意欲等の自由記載を無記名自記式調査によって行った。その結果、看護学生は、保育学生と比較して、遊戯的ユーモア態度、支援的ユーモア態度が低値を示した。ユーモアが必要な場面は、看護学生と保育学生で相違があり、看護学生はユーモアなどの能動的な技術を意識することが少なかった。看護学生は、講義や臨地実習後において攻撃的・遊戯的・支援的の全てのユーモア態度に有意な変化が見られなかった。ユーモアを学びたいと回答した看護学生は、講義や臨地実習終了後有意に上昇した。看護学生は講義・実習を通して、ユーモアの意識は高まるが、ユーモア態度を獲得するには至っていなかった。看護場面で積極的にユーモアを活用するためには、基礎学習の段階でユーモアを学習し、必要とされる看護の場面で取り入れていけるようにする土台作りの必要性が示唆された。

キーワード(Keywords)

看護学生、ユーモア態度、ユーモア意識、コミュニケーション、保育学生
Nursing student,Attitude of humor,Realization of humor,Communication,Child care student

大学入学時の看護学生の健康観とライフサイクル各期に発生した健康問題を捉える視点の特徴
Health Values and the Feature of Viewpoints for Paper Patients in Different Life Stages in New Nursing Students

新宮典子 1、樽井惠美子 2
Noriko SHINGU 1, Emiko TARUI 2
1 前島根大学医学部看護学科、2 島根大学医学部看護学科
1 Shimane University School of Nursing (formerly), 2 Shimane University School of Nursing

概要(Abstract)

大学入学時の看護学生を対象として、彼らの健康観を調査した。また、同時に小児、成人、老年各期における紙上事例を提示し、専門科目履修前の学生は、ライフサイクル各期に発生した健康問題をどのように捉えるのか、その視点の特徴を把握した。

看護学生の健康観としては、【人とかかわりながら自分らしく生きる】、【良好な身体機能】、【社会的安定】、【規則正しい生活習慣】、【病の克服と効力感】、【満足な睡眠】の6因子が抽出された。ライフサイクル各期の健康問題としては、小児期では主にADLの低下と家族が抱える問題、成人期では社会・経済的視点、老年期においては、生きがいや自分らしさの喪失という視点から健康問題が抽出されていた。看護学科新入生は、人間の健康を疾病の有無よりもむしろ、精神や社会、家族を含めた複合的な視点、さらに趣味や生きがいといったwell-beingの視点でとらえようとしていることがわかった。また、それは彼ら自身が位置する発達段階の特徴をふまえたものであることが伺えた。

キーワード(Keywords)

健康観、看護学生、紙上事例、ライフサイクル
Health Views, Nursing Students, Paper patients,Life Cycle

低位前方切除術後患者に排便機能障害が及ぼす心理的影響とその対処
Psychological aftereffects of defecation dysfunction on patients with LAR and their strategies

辻あさみ、鈴木幸子
Asami Tsuji,Yukiko Suzuki 
和歌山県立医科大学保健看護学部
School of Health and Nursing Science, Wakayama Medical University

概要(Abstract)

直腸癌の治療法はおもに手術療法であり、近年では肛門括約筋を温存する内肛門括約筋切除を付加した低位前方切除術(以下LARと略す)が行われるようになった。しかし、LARを受けた患者は、残便感、トイレに行っても排便がない、頻便、soiling(下着の汚れ)などの排便機能障害に悩まされることになった。そこで、LAR後6ヶ月以上経過し、排便への対応が比較的うまくできている人を対象に、術後の排便機能障害が患者に及ぼす心理的影響を把握し、生活の適応を支援する看護を明らかにすることを目的として調査を行った。

その結果、LAR後患者の思いは【術後の身体変化の理解】【病気に対する受け止め方】【がんに対する不安】【家族に対する思い】【他患者との交流】の5つのカテゴリーが抽出され、LAR後患者に排便機能障害が及ぼす心理的影響は、具体的な排便機能障害についての情報が不足していること、病気の受け止め方により排便機能障害に対する対応の仕方の相違があること、がんに対する不安があること、家族に思いを伝えられないこと、他患者との交流の場が不足していることが明らかとなった。これらのことより、具体的な排便機能障害に関する情報提供の必要性、患者自ら対処方法を見い出せるよう働きかける援助、がんに対する不安の援助、家族以外にも思いを表出できるサポート体制、がんサバイバーシップを高めるために他患者と交流する場を提供することの必要性が示唆された。

キーワード(Keywords)

低位前方切除術、排便機能障害、心理的影響、がんサバイバーシップ
low anterior resection:LAR,defecation dysfunction, psychological aftereffect,cancer survivorship

がん患者と家族ががんという病気を通して体験した様相
1 Kurume University School of Nursing,2 Kurume University School of Nursing( formerly)

飯野矢住代 1、河合千恵子 2
Yasuyo Iino 1,Chieko Kawai 2
1 久留米大学医学部看護学科、2 元久留米大学医学部看護学科
1 Kurume University School of Nursing,2 Kurume University School of Nursing( formerly)

概要(Abstract)

がん患者と家族が、がんという病気を通して共にどのようなことを感じ、体験してきたのかということを明らかにする。研究対象は、A病院に通院しているがん患者2名、家族2名で、研究協力の同意が得られた者とした。データ収集方法は、半構成質問紙法を用いながらそれぞれ自由に語ってもらった。結果、がん患者や家族の語られた内容から、以下のように解釈できた。がん患者と家族は、がん告知時に【非日常的な気持ち】を感じながら、藁をもすがる想いでさまざまな治療や代替・補完療法を求めながら【治療に対する不安】を抱いていた。そういった中で、【医療者の関わり】は患者や家族に功を奏したり、不安を増強する結果を招いていた。患者や家族は、がんについての学習会や話し合いの会に参加することにより、今までの自己の生活に対する内省から【気づき】、【自分なりの病気との向き合い方、折り合いのつけ方】を考えるようになっていった。さらに病気によって【家族の絆が再構築】されたと実感しており、それらは、【病気によってもたらされた恩恵】としてとらえていた。しかし、がんを告知されてからずっと【気持ちの揺らぎ】を感じており、これらは【消失することはない】と自覚していた。

がん患者と家族はがんという病気の体験から、意味や価値を感じられる存在であった。彼らの体験を知ることにより見出されたプロセスの節目々について、看護者は十分に理解し、その時々に見合ったケアを提供していく必要性が示唆された。

キーワード(Keywords)

がん患者、がん患者家族、体験した様相
cancer patient, cancer patient family members, experiences of cancer

eラーニング導入による看護学生の学習支援ニーズと情報活用の実践力、 及び看護実践力への影響
The Effects of e-learning Program on Nursing Students' Study Needs,Information-related Problem Solving Capabilities, and Clinical Competency

古山美穂 1、細田泰子 1、吉川彰二 1、森一恵 2、星和美 1、荒木孝治 1、真嶋由貴恵 3、中村裕美子 1
Miho Furuyama 1, Yasuko Hosoda 2, Shoji Yoshikawa 1, Kazue Mori 2, Kazumi Hoshi 1, Takaharu Araki 1, Yukie Majima 3, Yumiko Nakamura 1
1 大阪府立大学看護学部、2 岩手県立大学看護学部、3 大阪府立大学総合教育研究機構
1 Osaka Prefecture University School of Nursing, 2 Iwate Prefectural University Faculty of Nursing,3 Osaka Prefecture University Faculty of Liberal Arts and Sciences

概要(Abstract)

本研究ではeラーニング導入前後で学生の「学習支援ニーズ」、「情報活用の実践力」及び「看護実践力」について比較を行い、さらに学生の学習支援のニーズと情報活用の実践力がどのように看護実践力に影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とする。有効回答が得られたeラーニング導入前105名、導入後84名を分析した結果、

1. eラーニングの導入により、学習支援ニーズが低くなった。特に「看護展開を見越す授業」、「図書資料の活用可能性」は有意に低くなった。

2. eラーニング導入により、情報活用の実践力が高まった。特に「表現力」と「発信・伝達力」は有意に高くなった。

3. eラーニング導入により、看護実践力が高まった。特に「実施する力」と「評価する力」は有意に高くなった。

4. eラーニング導入により、学習支援ニーズが看護実践力に結びつく傾向が強まった。一方で情報活用の実践力から看護実践力への影響は弱まった。eラーニングを導入した学生の看護実践力を説明するには学習支援ニーズと情報活用の実践力以外の要因があることが示唆された。

キーワード(Keywords)

看護実践力、情報活用の実践力、学習支援ニーズ、eラーニング、看護学生
clinical competency, information-related problemsolving capabilities, study needs, e-learning, nursingstudents

アルコールゲル擦式手指消毒の手技による手指消毒教育の効果と持続性の検討
An Analysis of Education Effect of Disinfection with Ethanol-Based Hand Cleaning Gel

田村友耶 1、山根木貴美代 2、中納美智保 2、水田真由美 2
Yuka Tamura 1, Kimiyo Yamaneki 2, Michiho Nakano 2, Mayumi Mizuta 2
1 和歌山県立医科大学附属病院、2 和歌山県立医科大学保健看護学部
1 Wakayama Medical University Hospital, 2 School of Health and Nursing Science, Wakayama Medical University

概要(Abstract)

手指消毒の教育効果と持続性を検討する目的で、A看護系大学生40名を対象に、アルコールゲル擦式手指消毒の手技を学年別比較し、細菌減少率を分析した。結果、細菌減少率が高かったのは3年生で87。3%、続いて2年生、4年生、1年生の順であり、1年生と3年生には有意差が認められた(p<0.05)。部位別減少率は手首の減少率が1年生で47.6%、3年生で90.4%と有意差が認められた(p<0.05)。最も消毒に時間をかけ、ゲル使用量も多かったのは3年生であった。消毒時間とゲル使用量(γ=0.357 p<0.05)、消毒時間と細菌減少率(γ=0.327 p<0.05)は正の相関が認められたが、ゲル使用量と細菌減少率には有意な相関は認められなかった。3年生は1・2年次の教育と復習、実習機会の増加により正しい知識・手技が身についていると考えられる。1年生は1回の講義・演習では正しい知識・手技を得ることは難しく、手首を洗う行為は習慣化しておらず3年生と有意差が認められた。4年生は2・3年生より減少率が低かったため、教育効果が薄れてきたことが示唆された。ゲル使用量と細菌減少率に相関が認められなかったのは、手技の問題が考えられた。

キーワード(Keywords)

アルコールゲル手指消毒、手指消毒教育、細菌培養、看護学生
disinfection with ethanol-based hand cleaning gel,hand-washing education, bacteriological examination,nursing student

羞恥心軽減に対する看護学生の配慮の実態と指導方法
The Actual Condition of Consideration of Nursing Students to Ease the Shyness and a Way of Guidance for them

牧野映里、原田広枝
Eri Makino, Hiroe Harada
九州大学医学部保健学科
School of Health Sciences,Faculty of Medicine, Kyushu University

概要(Abstract)

本研究の目的は臨地実習において患者の羞恥心を軽減するための看護学生の配慮に関する現状と課題を明らかにし、指導方法を検討することである。研究方法は調査研究で、対象は看護系大学の4年次生258名で有効回答率は84.5%であった。調査内容は実習中の羞恥心軽減に関する困った経験及び、実習中に実施した清潔ケアを振り返り調査者が作成した羞恥心軽減に関する14項目についての意識と実施状況等である。倫理的配慮としては責任者に承諾を得た上で実施し、対象者には本調査以外の目的でデータを使用しないこと、調査票は無記名としデータは統計的に処理することを説明した。「羞恥心を軽減するための看護学生の意識」についての因子分析では「露出を最小限にする配慮」、「安楽をもたらす配慮」、「場面に応じた配慮」、「対応の仕方による配慮」の4因子が抽出された。困った経験の程度は、約8割で、困った場面は「清潔ケア」が最も多かった。14項目の意識の平均は3.6、実施状況は3.2で、12項目で意識と実施状況に有意差が見られた。羞恥心軽減を実施できなかった理由は「余裕のなさ」が最も多かった。以上から看護学生の配慮を向上するには、学生が羞恥心の軽減に対する自己の感情に気づき、看護職の役割や配慮の仕方を考える振り返りの機会が必要である。また、学内演習で看護技術の向上を促したり、実習指導者による看護実践モデルを提示して学生の判断力を育成したり、学習の順序性を考慮した実習指導を行う必要が明らかになった。

キーワード(Keywords)

羞恥心、看護学生、指導方法、臨地実習
shyness, nursing students, way of guidance,nursing practice

臨床看護師が感じている新人看護師への期待認識
−大学卒業者と専門学校卒業者の比較考察−
Clinical Nurses' Perceptions of Expectation toward New Graduate RNs:A Comparison of Baccalaureate and Diploma Graduates

佐久間和幸 1・若松順子 2
1 Kazuyuki Sakuma, 2 Junko Wakamatsu
1 元呉大学看護学部看護学科、2 呉大学看護学部看護学科
1 ex. Faculty of Nurisng, Kure University, 2 Faculty of Nurisng, Kure University

概要(Abstract)

近年看護大学の増設に伴い、看護基礎教育の異なる看護師が互いに現場で実践を繰り広げられている。そこで本研究では臨床看護師106名に対し、看護基礎教育の異なる新人看護師(看護系大学卒業新人看護師と専門学校卒業新人看護師)への期待認識について調査を実施した。

研究期間は2006年10月から2007年10月までの約1年間を要した。本研究に適合する尺度が存在しなかったため、臨床看護師12名から新人看護師への認識調査を実施し、これを予備調査として尺度開発を行った。これらのデータから、『知識』『技術』『人間性』の各8問の合計24問の質問項目を作成し、リカートの5段階判定カテゴリーを用いてスケールを作成した。

結果、24項目平均得点では両者の有意差は見られなかった。しかし個々の『知識』『技術』『人間性』カテゴリー平均得点から有意差を導くことができた。また、臨床看護師自身の進学希望願望によって、新人看護師への期待認識が異なっていたので報告する。

キーワード(Keywords)

新人看護師、期待、認識、大卒看護師、専門卒看護師

Support for Cancer Patients and their Family and Training of Cancer Help Net(CHN) Volunteers

Yasuyo Iino, MS. RN.
Kurume University School of Nursing

概要(Abstract)

In 2001 a continuous support group called theCancer Help Net (hereafter CHN) was establishedto provide appropriate support to cancer patientsand their families. CHN's activities include a monthlytraining and study meeting for CHN volunteers,support activities for cancer patients and their familiestwo times a month, and education activities aboutcancer prevention for local residents twice a year.

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