原著 | 領域別実習において場を移動する学習活動で看護学生が捉えた矛盾の特徴 | 岡島規子 |
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原著 | 訪問看護ステーション管理者のコンピテンシーの構成要素 | 加藤典子,谷口敏代,吾郷美奈恵 |
原著 | 急性期治療下における達人看護師が実践している「中心静脈路の意図しない抜去」を防ぐ認知的技能~Safety-Ⅱ概念に基づく分析 | 河邉紅美,岡本華枝 |
原著 | 中堅看護師のワーク・エンゲイジメントとキャリアレジリエンスとの関連 | 小原みさお,高橋梢子,岡安誠子,金城祥教 |
報告 | 成人看護学急性期実習で看護学生が患者の心理社会面の情報を捉えることに関連する要因 | 喜志多玲,花田妙子 |
報告 | 幼児健康診査を受診した児の受診行動と母親の育児ストレス状況の関係 | 村尾奈津子,吾郷美奈恵,山下一也 |
報告 | 新人看護師と教育担当者が捉えるOff the job trainingでの学びのOn the Job trainingでの活用 | 松田未来子,林智子,井村香積 |
その他 | 看護学生の実習中適応感尺度の作成 ―実習中適応感に影響する実習前要因および実習中抑うつ状態との関係― |
龔恵芳 |
領域別実習における学習活動において,学内から臨地,異なる病院等を移動する学生が捉えた矛盾の特徴を明らかにするとともに,領域別実習の時期による変化を明らかにした。
8 大学32 名の看護学生に2 回の面接を行い,「これまでと違う工夫や対応が必要であった経験」等を質問した。逐語録から矛盾に関する記述を抽出し,時期別にカテゴリー化した後,矛盾のカテゴリーを構成要素である「アーティファクト」「ルール」「コミュニティ」「分業」ごとに整理し,矛盾の特徴を見いだした。アーティファクトを媒介とする学習活動の矛盾の特徴は,全期で【対象者との関係形成における矛盾】【異なる対象者への援助における矛盾】等の7 つがあった。ルールでは,全期に【ルールが異なることによる矛盾】等の3 つの特徴がみられ,中期と後期には【実習ローテーションによる矛盾】があった。コミュニティでは,全期で【学習環境が変わることで生じる矛盾】【新しい集団と関わり学習することによる矛盾】の2 つの特徴がみられた。分業では,全期で【教員や指導者によりもたらされる矛盾】等の3 つの特徴がみられ,中期と後期では【カンファレンスで生じる矛盾】があった。矛盾は時期によって変化するものもあり,学生の成長に必要な内容がみられたが,学習活動を停滞させる矛盾も存在した。このことから,学習活動に必要な矛盾か否かを査定し,学習支援を行う必要性が示された。
活動理論,学習活動,矛盾,領域別実習,看護学生
activity theory, learning activity, contradictions, domain-specific training, nursing students
本研究の目的は,訪問看護ステーション管理者の役割を効果的に果たすための示唆を得るため,訪問看護ステーション管理者のコンピテンシーの構成要素を明らかにすることである。5 年以上の管理経験を有する訪問看護ステーション管理者10 名を対象に半構造的インタビュー調査を実施した。インタビュー調査から,得られたデータを一意味一内容の文章とし,コンピテンシーに焦点を当てた内容分析を行い,訪問看護ステーション管理者のコンピテンシーを示す内容を抽出した。そこから,類似するもの同士を集め,要約する作業を繰り返し,共通性と相違性を検証しながら,サブカテゴリにまとめ,さらに抽象度を高めカテゴリ化した。訪問看護ステーション管理者のコンピテンシーの構成要素として,【利用者と家族への支援】【地域における訪問看護の発信】【多機関・多職種との連携】【スタッフの能力開発支援】【スタッフとの連携・協働】【スタッフのメンタルヘルス支援】【管理者のリスクマネジメント】【管理者のセルフマネジメント】【経営におけるバランス感覚】【ステーション経営のビジョン】【管理者の信条】【管理後継者の育成】の12 カテゴリが明らかになった。
訪問看護ステーション管理者,コンピテンシー,半構造的インタビュー
Home-Visit Nursing Station Administrator,Competencies,Semi-structured interview
急性期病院では,中心静脈カテーテルの意図しない抜去に遭遇するよりも,トラブルなく通常通りに治療が進むことが多い。その成功の件数を増やすことが,患者の安全確保ができると考え,急性期治療下における達人看護師における「中心静脈路の意図しない抜去」を防ぐ認知的技能の構造化を明らかにすることを研究目的とした。研究協力者である看護師経験10 年以上の4 名に半構造化面接法を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した。「中心静脈路の意図しない抜去」を防ぐ認知的技能は,【訪室前に患者をイメージし頭を整える】【患者に合わせた訪室回数により直視での確実な確認】【患者を巻き込み患者安全を守る姿勢】【療養の場での生活を整える援助の実践】【患者の傍にいながら安心を与える見守りや声かけの実践】【抜けないCVC 固定方法を経験から見出す】【訪室毎のアセスメントによる患者情報の更新】【チーム全体での情報共有と実践による危険予知】【未熟達な仲間を先輩看護師が支援する体制作り】の9 つのカテゴリが導きだされた。達人看護師は日々の看護実践の中で,たえず患者中心に考え,自分だけでなくチーム全体で患者の安全を守る認知的技能を網羅し獲得していた。患者の一番傍にいて安全を守り続けている看護師がどのように看護実践を行っているか,行動指標の示唆を得ることができた。
Safety-II ・達人看護師・認知的技能・患者安全
Safety-II・master nurses・cognitive skills・patient safety
目的:役職をもたない中堅看護師のワーク・エンゲイジメントを高めるために,キャリアレジリエンスがどのように関連しているかを明らかにする。
方法:急性期医療を担う山陰2 県9 施設549 名を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。質問項目は,個人特性,ワーク・エンゲイジメント,キャリアレジリエンス,「看護の仕事を楽しむ」である。ワーク・エンゲイジメントとキャリアレジリエンスおよび「看護の仕事を楽しむ」の関連をロジスティック回帰分析で検討した。
結果:ワーク・エンゲイジメントに有意に関連していたのは,年齢,キャリアレジリエンスを独立変数に投入した場合,41 歳以上,キャリアレジリエンスの「問題対応力」,「未来志向」であった。年齢,キャリアレジリエンスおよび「看護の仕事を楽しむ」を投入した場合,キャリアレジリエンスの「問題対応力」そして「看護の仕事を楽しむ」であった。
結論:問題対応力と未来志向は,役職をもたない中堅看護師のワーク・エンゲイジメントを高めることが示唆された。また,役職をもたない中堅看護師のワーク・エンゲイジメントを高めるためには,看護の仕事を楽しむことへの支援も必要であることが示唆された。
中堅看護師,キャリアレジリエンス,ワーク・エンゲイジメント
Mid-career nurses,career resilience,work engagement
成人看護学急性期実習,看護学生,心理社会面の情報,会話
practical training for acute adult nursing, nursing students, information for psychosocial aspects,conversation
幼児,受診行動,育児ストレス状況,親子保健
Infant,Medical examination behavior,Childcare stress situation,Support for parents and children
目的:新人看護師の看護技術に関するOn the jobtraining 場面を振り返り,新人看護師のOff thejob training での学びの活用状況を明らかにすることである。それによりOff the job training とOn the job training を連動させた指導についての示唆を得ることである。
方法:教育担当者4 名とその指導を受けた新人看護師3 名に対し半構造化面接を行い,質的記述的に分析した。
結果:教育担当者・新人看護師共にOff the jobtraining での学びを活用できた状況は学んだ手技を手順通りにそのまま実施することであり,活用できなかった状況はOff the job training で学んだことと違う手技を行うことや患者の状況に応じた対応や判断をすることであった。新人看護師はOff the job training とOn the jobtraining での方法が異なる場合には,On the jobtraining で教えられた方法が正しいと捉えていた。また,実施後の振り返りでは,教育担当者はOn the job training ですぐに使える具体的なコツといった答えを教えたりアドバイスを行ったりしていた。
結論:新人看護師と教育担当者は,共にOff the jobtraining で学んだ内容をそのまま使うことがOnthe job training での活用だと捉えていることが明らかになった。一方,Off the job training での学びを実際的な状況に適用させ変化させて使うことは活用できないことと捉えており活用するための学びについての課題が示唆された。また,新人看護師のOn the job training での学びはそのまますぐに実践に役立つコツやアドバイスが重視される傾向にあり, Off the job training とOn the job training を連動させて学びを積み重ねていくことができていない可能性が示された。
新人看護師,教育担当者,Off the job training(Off-JT),On the job training(OJT),活用
novice nurses, educators, Off-the-job training (Off-JT), On-the-job training (OJT), application
看護学生,看護学臨地実習,実習中適応感
nursing students, nursing clinical practicum, sense of midst of practicum adaptation