原著 | 新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師行動の概念化 | 奥野 亜希,野本百合子,岡田ルリ子 |
---|---|---|
原著 | 看護学生と新人看護師の教育指導者における経験学習の関連要因 | 勝山 愛,細田 泰子,根岸まゆみ,金山 悠,北島 洋子,土肥 美子,片山由加里 |
原著 | 高校生とその親のソーシャル・キャピタルと新型コロナウイルス感染症に対する認知・行動との関係 | 武井保菜実,吾郷美奈恵,小田美紀子 |
報告 | 尿漏れ対処用パッドの素材が更年期女性のRR間隔と主観評価に与える影響 | 赤井美智代,中納ゆうか,川下菜穂子,池田 理恵 |
報告 | 肉眼解剖実習における看護大学生の倫理的な学びと臨床看護学実習との関連 | 河村 諒,小倉久美子,横井 達枝,諏訪美栄子,篠田かおる,鈴木 里美,黒澤 昌洋,八島 妙子 |
報告 | 看護師のローカス・オブ・コントロールと職業コミットメントの関連 | 竹内久美子,小溝 早紀 |
目的:新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師の行動を表す概念を創出する。
方法:研究方法論は看護概念創出法を適用した。非参加型参加観察法を用いて,日勤帯の病棟において先輩看護師が新人看護師や他看護師等と相互行為を展開する場面をデータとして収集し,持続比較分析した。
結果:新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師の行動を表す【臨床実践のための獲得能力評価結果に基づく看視と委任】,【問題発生への対応困難予測による情報提供と対応策伝授】,【看護の質維持のための補足と代行による模範の提示】,【実践への評価結果伝達と課題克服方法の提示】等,13 概念が明らかになった。
結論:新人看護師への効果的な支援の展開に向けて,先輩看護師が自らの行動を振り返る際の資料とするため,各概念の類似性、共通性を考察し,「新人看護師の臨床実践能力を査定し,看護の質保証のための対策を講じる」,「新人看護師が自律的に自己課題を克服する機会を確保する」等,5 つの特徴を見出した。
先輩看護師, 新人看護師, 行動,看護実践能力,看護概念創出法
senior nurse, new graduate nurse,
behavior, practical nursing competencies,
Methodology for Conceptualization of Nursing
目的:教育指導者における経験学習の関連要因を明らかにすることを目的とした。
方法:教育指導者1,137 名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。経験学習,目標志向性,職場学習風土,職場におけるソーシャルサポートを用いて,多重指標モデルを作成し,共分散構造分析を行った。経験学習において,職位はKruskal Wallis 検定,指導経験年数はMann Whitney U 検定を用いて分析した。
結果:541 名を分析対象とした。本モデルの適合度は許容水準を示した。パス係数は<職場学習風土>から[目標志向性]が.17,<職場におけるソーシャルサポート>から[目標志向性]が.11,[目標志向性]から[経験学習]が.77 であった。経験学習の「具体的経験」と「抽象的概念化」において,看護師長・副看護師長がスタッフより有意に高く,「内省的観察」では看護学生および新人看護師への指導経験年数,「能動的実験」では新人看護師への指導経験年数が長い群が短い群より有意に高かった。
結論:職場学習風土と職場におけるソーシャルサポートが目標志向性を介して経験学習に正の影響を与えることが確認された。職位や指導経験年数が経験学習の背景的特徴として示唆された。
教育指導者,経験学習,目標志向性,共分散構造分析
educational instructors, experiential learning, goal orientation, and covariance structure analysis
目的は,高校生とその親の“ ソーシャル・キャピタル”と“ 新型コロナウイルスに対する認知・行動” それぞれの特徴や関係を明らかにし,感染症に係る差別や偏見等に配慮した地域保健活動の推進について検討することである。
高校生1,064 名と親885 名を分析した結果,人権問題「新型コロナウイルス感染者」の学習経験は高校生が親より18.0%多く,他の学習経験も世代による特徴があった。高校生,親ともにソーシャル・キャピタル測定尺度合計得点と新型コロナウイルスに対する認知・行動の因子との相関をほとんど認めなかった。両者ともに人権問題の会話が多いほどソーシャル・キャピタル測定尺度合計得点は有意(p<.01)に高かった。「新型コロナウイルス感染者」学習経験「あり」は「なし」より新型コロナウイルスに対する認知・行動の因子の高校生「第3因子:感染不安」は有意(p<.01)に高く,親は各因子において有意差を認めなかった。
差別や偏見等に配慮した地域保健活動の推進のためには,人権教育は知識的側面を発達させるにとどまり,認知・行動的側面の発達には十分ではないことを認識し,感染不安や自粛ストレス,偏見や差別,うわさによる困惑がもたらす社会不安と混乱等の心理的影響が社会的に増幅しない取組を行うことが重要である。
ソーシャル・キャピタル,新型コロナウイルス感染症に対する認知・行動,差別,高校生,親
socialcapital,cognition / behavior regarding novel coronavirus infection,discrimination,high school students,parents
更年期女性は尿失禁の対処のため約65%がパッドなどの当て物を使用しているが,尿漏れ対処用パッドの心身への影響に関する研究報告はわずかである。そこで,本研究の目的は尿失禁対処に使用するパッドの素材による心身への影響を明らかにすることとした。対象は45~ 57 歳の健康な女性10 名で,尿漏れライナー,生理用ナプキン, 絹ライナーを装着し,安静期・運動期・運動後安静期にそれぞれ10 分間,RR 間隔を解析し,10 分経過時に主観評価(快適感, 湿潤感, 温冷感)をしてもらった。統計解析は,統計ソフトSPSS ver.25 を用い,時期ごとに,Kruskal-Wallis 検定により3 種類のパッドの差を求め,多重比較にはBonfferoni の補正を行った。有意確率5% 未満とした。
RR 間隔は,安静期は絹ライナー,運動期は尿漏れライナーと生理用ナプキン,運動後安静期は絹ライナーと尿漏れライナーが長く,有意差があった。主観評価に差はみられなかった。女性が尿漏れ対処用パッドを選択する際に生理用ナプキンで代用するよりも,絹ライナーや尿漏れライナーを使用することで負荷が軽減することが示唆された。
尿漏れ対処用パッド,更年期女性,RR 間隔,主観評価,心身の負荷
urine leakage pad,menopausal women, RR interval, subjective evaluation,mental and physical stress
目的:肉眼解剖実習での倫理的な学びを明らかにしたうえで,肉眼解剖実習と臨床看護学実習の学びの関連を明らかにする。
方法:研究参加者は看護大学生3 年生とした。半構成的面接法によりデータを収集し,質的記述的分析を用いて検討した。
結果:肉眼解剖実習における倫理的な学びは【生と死の本質的な違いが分かる】【献体者の崇高な意思を尊重する】であった。この肉眼解剖実習での経験が臨床看護学実習における倫理的な学びに与える影響として【看護師としての倫理観を醸成する】ことや【生命の重さを意識して患者の生活行動を支える】という看護実践に関連していた。
考察:肉眼解剖実習での倫理的な学びは,学年を重ねても失われることなく臨床看護学実習を通して,生を支える看護の基盤になっていると考えられる。また,患者をひとりの生活者として捉え,日常生活を支える看護を考えるうえで,肉眼解剖実習の学びを活かしていることが示唆された。
肉眼解剖実習,臨床看護学実習,看護大学生
Anatomy Dissection,Clinical Practice,Nursing Student
本研究は,看護師のローカス・オブ・コントロール(LOC)と職業コミットメント(OCS)の関連について明らかにすることを目的とした。
インターネット調査により538 名の現在就業中の看護師を対象として,属性,LOC,日本語版OCS の調査を実施した。OCS の質問18 項目は,探索的因子分析を実施し3 因子構造が確認され,「規範的コミットメント」「功利的コミットメント」「情緒的コミットメント」を下位尺度とした。LOC 尺度は,高値なほど目標にむかって積極的に働きかける傾向であることを示している。平均値+ 50% SD(48 点)以上を高群,- 50% SD(42 点)以下を低群として,OCS 3下位尺度において一元配置分散分析を行った。LOC 高群は,「規範的コミットメント」「功利的コミットメント」において低群より有意に低く,「情緒的コミットメント」に関して有意差は認められなかった。
LOC 得点が高いと内的(Internal)傾向が強く,目標に向かって自ら判断し積極的に働きかける傾向にあるのに対し,外的(External)傾向が強い人は,なりゆきにまかせるような方略をとると考えられている。「規範的コミットメント」「功利的コミットメント」は,外的刺激により醸成することが多く,自ら判断し行動することのできるLOC 高群は低い値であった。「情緒的コミットメント」はLOC の高低と関連しておらず,看護師にとって,職業コミットメントを高く維持するためには,「情緒的コミットメント」の要素である看護への憧れや尊敬といった思いを,持ち続けていくことが課題である。
職業コミットメント ローカス・オブ・コントロール 看護師
occupational commitment locus of control nurses