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『日本医学看護学教育学会誌』第33号No.2(2024年 12月 1日発行)

原著 新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師行動の概念化 奥野 亜希,野本百合子,岡田ルリ子
原著 看護学生と新人看護師の教育指導者における経験学習の関連要因 勝山 愛,細田 泰子,根岸まゆみ,金山 悠,北島 洋子,土肥 美子,片山由加里
原著 高校生とその親のソーシャル・キャピタルと新型コロナウイルス感染症に対する認知・行動との関係 武井保菜実,吾郷美奈恵,小田美紀子
報告 尿漏れ対処用パッドの素材が更年期女性のRR間隔と主観評価に与える影響 赤井美智代,中納ゆうか,川下菜穂子,池田 理恵
報告 肉眼解剖実習における看護大学生の倫理的な学びと臨床看護学実習との関連 河村 諒,小倉久美子,横井 達枝,諏訪美栄子,篠田かおる,鈴木 里美,黒澤 昌洋,八島 妙子
報告 看護師のローカス・オブ・コントロールと職業コミットメントの関連 竹内久美子,小溝 早紀

新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師行動の概念化Conceptualization of the Behavior of Senior Nurses Who Support New Graduate Nurses in Acquiring Practical Nursing Competencies

奥野 亜希 1,野本 百合子 2,岡田 ルリ子 3
Aki Okuno 1, Yuriko Nomoto 2, Ruriko Okada 3
1 元愛媛県立医療技術大学大学院,2 愛媛県立医療技術大学,3 聖カタリナ大学
1 Former Graduate School of Ehime Prefectural University of Health Sciences, 2 Ehime Prefectural University of Health Sciences, 3 St. Catherine University

概要(Abstract)

目的:新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師の行動を表す概念を創出する。

方法:研究方法論は看護概念創出法を適用した。非参加型参加観察法を用いて,日勤帯の病棟において先輩看護師が新人看護師や他看護師等と相互行為を展開する場面をデータとして収集し,持続比較分析した。

結果:新人看護師の看護実践能力獲得を支援する先輩看護師の行動を表す【臨床実践のための獲得能力評価結果に基づく看視と委任】,【問題発生への対応困難予測による情報提供と対応策伝授】,【看護の質維持のための補足と代行による模範の提示】,【実践への評価結果伝達と課題克服方法の提示】等,13 概念が明らかになった。

結論:新人看護師への効果的な支援の展開に向けて,先輩看護師が自らの行動を振り返る際の資料とするため,各概念の類似性、共通性を考察し,「新人看護師の臨床実践能力を査定し,看護の質保証のための対策を講じる」,「新人看護師が自律的に自己課題を克服する機会を確保する」等,5 つの特徴を見出した。

キーワード(Keywords)

先輩看護師, 新人看護師, 行動,看護実践能力,看護概念創出法
senior nurse, new graduate nurse, behavior, practical nursing competencies, Methodology for Conceptualization of Nursing

看護学生と新人看護師の教育指導者における経験学習の関連要因Factors Related to Experiential Learning in Educational Instructors of Nursing Students and Newly Graduated Nurses

勝山愛 1,細田泰子 1,根岸まゆみ 2,金山悠 3,北島洋子 4,土肥美子 1,片山由加里 5
Ai Katsuyama 1,Yasuko Hosoda 1,Mayumi Negishi 2,Yu Kanayama 3,Yoko Kitajima 4,Yoshiko Doi 1,Yukari Katayama 5
1 大阪公立大学大学院看護学研究科,2 静岡県立大学看護学部,3 大阪府立大学大学院看護学研究科博士後期課程,4 岐阜医療科学大学看護学部,5 同志社女子大学看護学部)
1 Graduate School of Nursing, Osaka Metropolitan University,2 School of Nursing, University of Shizuoka,3 Graduate School of Nursing Doctoral Course, Osaka Prefecture University,4 Faculty of Nursing, Gifu University of Medical Science,5 Faculty of Nursing, Doshisha Women’s College of Liberal Arts

概要(Abstract)

目的:教育指導者における経験学習の関連要因を明らかにすることを目的とした。

方法:教育指導者1,137 名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。経験学習,目標志向性,職場学習風土,職場におけるソーシャルサポートを用いて,多重指標モデルを作成し,共分散構造分析を行った。経験学習において,職位はKruskal Wallis 検定,指導経験年数はMann Whitney U 検定を用いて分析した。

結果:541 名を分析対象とした。本モデルの適合度は許容水準を示した。パス係数は<職場学習風土>から[目標志向性]が.17,<職場におけるソーシャルサポート>から[目標志向性]が.11,[目標志向性]から[経験学習]が.77 であった。経験学習の「具体的経験」と「抽象的概念化」において,看護師長・副看護師長がスタッフより有意に高く,「内省的観察」では看護学生および新人看護師への指導経験年数,「能動的実験」では新人看護師への指導経験年数が長い群が短い群より有意に高かった。

結論:職場学習風土と職場におけるソーシャルサポートが目標志向性を介して経験学習に正の影響を与えることが確認された。職位や指導経験年数が経験学習の背景的特徴として示唆された。

キーワード(Keywords)

教育指導者,経験学習,目標志向性,共分散構造分析
educational instructors, experiential learning, goal orientation, and covariance structure analysis

高校生とその親のソーシャル・キャピタルと新型コロナウイルス感染症に対する認知・行動との関係Relationship Between the Social Capital of High School Students and Their Parents and Cognition / Behavior Regarding the Novel Coronavirus infection

1 武井 保菜実,1 吾郷 美奈恵,2 小田 美紀子
Honami Takei 1,Minae Ago 1,Mikiko Oda 2
1 元島根県立大学大学院看護学研究科,2 島根県立大学大学院看護学研究科
1 Alumnae of the School of Nursing Science, The University of Shimane , 2 Graduate student of the School of Nursing Science, The University of Shimane

概要(Abstract)

 目的は,高校生とその親の“ ソーシャル・キャピタル”と“ 新型コロナウイルスに対する認知・行動” それぞれの特徴や関係を明らかにし,感染症に係る差別や偏見等に配慮した地域保健活動の推進について検討することである。
高校生1,064 名と親885 名を分析した結果,人権問題「新型コロナウイルス感染者」の学習経験は高校生が親より18.0%多く,他の学習経験も世代による特徴があった。高校生,親ともにソーシャル・キャピタル測定尺度合計得点と新型コロナウイルスに対する認知・行動の因子との相関をほとんど認めなかった。両者ともに人権問題の会話が多いほどソーシャル・キャピタル測定尺度合計得点は有意(p<.01)に高かった。「新型コロナウイルス感染者」学習経験「あり」は「なし」より新型コロナウイルスに対する認知・行動の因子の高校生「第3因子:感染不安」は有意(p<.01)に高く,親は各因子において有意差を認めなかった。
差別や偏見等に配慮した地域保健活動の推進のためには,人権教育は知識的側面を発達させるにとどまり,認知・行動的側面の発達には十分ではないことを認識し,感染不安や自粛ストレス,偏見や差別,うわさによる困惑がもたらす社会不安と混乱等の心理的影響が社会的に増幅しない取組を行うことが重要である。

キーワード(Keywords)

ソーシャル・キャピタル,新型コロナウイルス感染症に対する認知・行動,差別,高校生,親
socialcapital,cognition / behavior regarding novel coronavirus infection,discrimination,high school students,parents

尿漏れ対処用パッドの素材が更年期女性のRR 間隔と主観評価に与える影響Effect of Different Incontinence Pad Materials on Electrocardiograph RR Intervals and the Subjective Evaluations of Menopausal Women

赤井 美智代 1,中納 ゆうか 2,川下 菜穂子 3,池田 理恵 4
Michiyo Akai1,Yuka Nakanou2, Naoko Kawashita3,Rie Ikeda4
1 山陽学園大学看護学部看護学科,2 元岡山県立大学大学院保健福祉学研究科,3 新見公立大学健康科学部看護学科, 4 和歌山県立医科大学保健看護学部
Department of Nursing, Faculty of Nursing, Sanyo Gakuen University, 2 Former Graduate School of Health and Welfare Science, Okayama Prefectural University, 3 Department of Nursing, Faculty of Human Health Sciences, Niimi University, 4 School of Health and Nursing Science, Wakayama Medical University

概要(Abstract)

更年期女性は尿失禁の対処のため約65%がパッドなどの当て物を使用しているが,尿漏れ対処用パッドの心身への影響に関する研究報告はわずかである。そこで,本研究の目的は尿失禁対処に使用するパッドの素材による心身への影響を明らかにすることとした。対象は45~ 57 歳の健康な女性10 名で,尿漏れライナー,生理用ナプキン, 絹ライナーを装着し,安静期・運動期・運動後安静期にそれぞれ10 分間,RR 間隔を解析し,10 分経過時に主観評価(快適感, 湿潤感, 温冷感)をしてもらった。統計解析は,統計ソフトSPSS ver.25 を用い,時期ごとに,Kruskal-Wallis 検定により3 種類のパッドの差を求め,多重比較にはBonfferoni の補正を行った。有意確率5% 未満とした。
RR 間隔は,安静期は絹ライナー,運動期は尿漏れライナーと生理用ナプキン,運動後安静期は絹ライナーと尿漏れライナーが長く,有意差があった。主観評価に差はみられなかった。女性が尿漏れ対処用パッドを選択する際に生理用ナプキンで代用するよりも,絹ライナーや尿漏れライナーを使用することで負荷が軽減することが示唆された。

キーワード(Keywords)

尿漏れ対処用パッド,更年期女性,RR 間隔,主観評価,心身の負荷
urine leakage pad,menopausal women, RR interval, subjective evaluation,mental and physical stress

肉眼解剖実習における看護大学生の倫理的な学びと臨床看護学実習との関連Ethical Learning of Nursing Students in Gross Anatomy Practice and its Relation to Clinical Nursing Practice

河村 諒 1,小倉 久美子 2, 横井 達枝 3,諏訪 美栄子 4,篠田 かおる 5,鈴木 里美 6,黒澤 昌洋 7,八島 妙子 8
Ryo Kawamura 1,Kumiko Ogura 2,Tatsue Yokoi 3,Mieko Suwa 4,Kaoru Shinoda 5,Satomi Suzuki 6,Masahiro Kurosawa 7,Taeko Yashima 8
¹ 名古屋女子大学,² 一宮研伸大学,³ 元愛知医科大学,4 修文大学,5,7 愛知医科大学,6,8 東京医療保健大学
1 Nagoya Women's University Faculty of Health and Sciences Department of Nursing, 2 School of Nursing Ichinomiya Kenshin College, 3 Former Aichi Medical University College of Nursing, 4 Shubun University Faculty of Nursing, 5, 7 Aichi Medical University College of Nursing, 6, 8Tokyo Healthcare University Wakayama Faculty of Nursing

概要(Abstract)

 

目的:肉眼解剖実習での倫理的な学びを明らかにしたうえで,肉眼解剖実習と臨床看護学実習の学びの関連を明らかにする。

方法:研究参加者は看護大学生3 年生とした。半構成的面接法によりデータを収集し,質的記述的分析を用いて検討した。

結果:肉眼解剖実習における倫理的な学びは【生と死の本質的な違いが分かる】【献体者の崇高な意思を尊重する】であった。この肉眼解剖実習での経験が臨床看護学実習における倫理的な学びに与える影響として【看護師としての倫理観を醸成する】ことや【生命の重さを意識して患者の生活行動を支える】という看護実践に関連していた。

考察:肉眼解剖実習での倫理的な学びは,学年を重ねても失われることなく臨床看護学実習を通して,生を支える看護の基盤になっていると考えられる。また,患者をひとりの生活者として捉え,日常生活を支える看護を考えるうえで,肉眼解剖実習の学びを活かしていることが示唆された。

キーワード(Keywords)

肉眼解剖実習,臨床看護学実習,看護大学生
Anatomy Dissection,Clinical Practice,Nursing Student

看護師のローカス・オブ・コントロールと職業コミットメントの関連Association Between Locus of Control and Occupational Commitment in Nurses

竹内 久美子 1, 小溝 早紀 2
Kumiko Takeuchi 1, Saki Komizo 2
1 和洋女子大学 看護学部 看護学科, 2 和洋女子大学大学院 看護学研究科
1 Wayo Women’s University Faculty of Nursing, 2 Wayo Women’s University Graduate School of Nursing

概要(Abstract)

 

本研究は,看護師のローカス・オブ・コントロール(LOC)と職業コミットメント(OCS)の関連について明らかにすることを目的とした。
インターネット調査により538 名の現在就業中の看護師を対象として,属性,LOC,日本語版OCS の調査を実施した。OCS の質問18 項目は,探索的因子分析を実施し3 因子構造が確認され,「規範的コミットメント」「功利的コミットメント」「情緒的コミットメント」を下位尺度とした。LOC 尺度は,高値なほど目標にむかって積極的に働きかける傾向であることを示している。平均値+ 50% SD(48 点)以上を高群,- 50% SD(42 点)以下を低群として,OCS 3下位尺度において一元配置分散分析を行った。LOC 高群は,「規範的コミットメント」「功利的コミットメント」において低群より有意に低く,「情緒的コミットメント」に関して有意差は認められなかった。
LOC 得点が高いと内的(Internal)傾向が強く,目標に向かって自ら判断し積極的に働きかける傾向にあるのに対し,外的(External)傾向が強い人は,なりゆきにまかせるような方略をとると考えられている。「規範的コミットメント」「功利的コミットメント」は,外的刺激により醸成することが多く,自ら判断し行動することのできるLOC 高群は低い値であった。「情緒的コミットメント」はLOC の高低と関連しておらず,看護師にとって,職業コミットメントを高く維持するためには,「情緒的コミットメント」の要素である看護への憧れや尊敬といった思いを,持ち続けていくことが課題である。

キーワード(Keywords)

職業コミットメント ローカス・オブ・コントロール 看護師
occupational commitment locus of control nurses

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