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『日本医学看護学教育学会誌』第19号 (2010年11月 1日発行)

解剖学学習の学習意欲を高めるための授業の工夫
Device of class to improve willingness to learn of anatomy study

矢部勝弘1,2、中村美智子2
Katsuhiro YABE 1,2 Michiko NAKAMURA 2
1 埼玉医科大学医学部、2 埼玉医科大学附属総合医療センター看護専門学校
1 Saitama Medical University, 2 General Medical Center Saitama Medical University,School of Nursing

概要(Abstract)

看護における解剖学教育は、フィジカルアセスメント能力を養うための重要な教育内容である。近年、卒業直後の新人看護職員の看護能力の低下が指摘され、教育内容の更なる充実が求められている。本研究は、看護に必要な解剖学の知識を自らが学ぼうとする内発的動機づけを高めるための授業の工夫を試みた。初回授業開始時に初対面の学生に対して、解剖学を学ぶ意義について印象づけた。さらに学習の動機づけにつなげるため、それ以降の授業の中でも医療や福祉に関する最近の話題を提供し、学生の知的好奇心を刺激しながら解剖学学習の必要性・重要性などを継続的に印象づけた。

その結果、(1)「印象づけ」は学生の興味や関心を引いたこと、(2)学習目標の明確化により、学習不安が軽減されたこと、(3)学生が解剖学の重要性・必要性を実感したこと、(4)学習の動機づけにつながったこと、(5)解剖学の捉え方が変化したこと、などの効果が認められた。このように、入学後間もない時期の看護の初学者を対象に、解剖学を学ぶ意義を繰り返し印象づける授業法は、学生の知的好奇心を引き出し、解剖学に対する学習意欲を高めるために有効であると考えられた。

キーワード(Keywords)

看護学生、解剖学、看護技術、学習意欲、内発的動機づけ
nursingstudent,anatomy,nursing technique, willingness to learn,intrinsic motivatin

運動器の機能向上事業が高齢者に与える効果
Effects of municipal project for improving locomotory function on health in the aged person

緑典子、山田和子、森岡郁晴
Noriko MIDORI,Kazuko YAMADA,Ikuharu MORIOKA
和歌山県立医科大学保健看護学部
School of Health and Nursing Science,Wakayama Medical University

概要(Abstract)

目的:高齢者が運動器の機能向上事業教室(以下、「教室」とする)に参加することにより、身体面だけでなく精神面にどのような効果があるのかを明らかにする。

方法:調査対象者は教室参加者と対照者である。教室参加者は12名で、初回参加時(以下、「参加前」とする)、終了時(以下、「参加後」とする)に体力測定と自記式質問紙による調査を行った。対照者は60歳以上の住民25名で、教室の「参加前」と「参加後」の同時期に自記式質問紙による調査を行った。

結果:体力測定については、参加後に最大5歩幅は有意に増加し、起き上がり動作時間は減少の傾向があった。質問紙による調査については、参加者、対照者別に参加前後の平均得点を比較すると、対照者の「コミュニケーション」「意欲」の得点が有意に低くなっていたが、参加者の得点には有意な差がみられなかった。

まとめ:教室に参加し運動を実施することで、運動機能の向上のみならず参加者自身が健康を意識した生活を送ることにつながり、意欲的な生活の継続や健康意識の低下を防いでいることが示唆された。

キーワード(Keywords)

高齢者、運動器の機能、精神的な効果、予防
aged person,locomotory function,mental effect,prevention

若齢看護師・中齢看護師・高齢看護師のワープロ・表計算画面データ視読特性
A Study of Readability on Reading Data in Word Processor and in Spreadsheet of Young Nurses,Middle-aged Nurses and Aged Nurses

山口晴久1,山口有美2
Haruhisa YAMAGUCHI1, Yumi YAMAGUCHI 2
1 九州産業大学芸術学部、2 山陽学園大学看護学部
1 Faculty of Fine Arts Kyushu Sangyo University, 2 Faculty of Nursing Sanyo Gakuen University

概要(Abstract)

病院業務の情報化によりVDT作業によるデータ処理が当然になってきた。本研究は多様な年齢の看護師のデータ処理環境改善のための基礎研究として、VDT作業の主要部を占めるワープロと表計算ソフト画面のデータ視読環境の違いに着目し、数値データの視読能力について、ワープロと表計算ソフト画面による視読速度の差異、年齢による差異、文字の大きさによる差異について多様な被験者(若齢看護師・中齢看護師・高齢看護師)を対象に視読実験を行い、統計的手法を用いて比較し分析した。その結果、同一文字サイズではワープロ画面のデータ視読と表計算画面によるデータ視読の時間はほとんど差がないこと、高齢になるほどデータ視読の速度が遅く、データの誤読の可能性が高くなること、ワープロ画面に換算して15ポイント以上は文字の大きさによるデータ視読の困難性は無いことなどの結果が得られた。若齢看護師、中齢看護師、高齢看護師のVDT作業における視読認知特性が解明され、今後の看護情報教育、看護情報管理に有用な知見を得ることができた。

キーワード(Keywords)

若齢看護師、中齢看護師、高齢看護師、VDT、視読性
Young nurses,Middle-aged nurses ,Aged Nurses,Visual Display Terminal, Readability

数値データサイズの違いによる若齢看護師・中齢看護師・高齢看護師のVDT視読特性
A Study of Readability on Reading Digital Data in VDT work of Young Nurses, Middle-aged Nurses and Aged Nurses

山口晴久 1 ,山口有美 2
Haruhisa YAMAGUCHI 1 ,Yumi YAMAGUCHI 2
1 九州産業大学芸術学部,2 山陽学園大学看護学部
1 Faculty of Fine Arts Kyushu Sangyo University,2 Faculty of Nursing Sanyo Gakuen University

概要(Abstract)

病院業務における適正なVDT画面上のデータ表示のありかたに関する基礎的な研究として、VDT作業の主要部を占めるVDT画面におけるデータ視読能力に着目し、多様な被験者(若齢看護師, 中齢看護師,高齢看護師)にワープロ画面に表示された20個の数値データを視読させる実験を行った.5種類の数値データサイズ、音読速度、誤読の有無、近見視力、PCの日常的使用の有無をパラメータとして、統計的手法を用いて年齢群別にデータ視読能力について比較し分析した。その結果、データサイズが小さすぎても大きすぎても読みにくい、視角に直すと28分~36分の大きさの文字サイズで画面に表示すれば数値データを読む速度を速くし誤読数を減少させることができる、高齢になるほどデータ視読の速度が遅くデータの誤読の可能性が高くなる、近見視力が高いほどまたPCを日常的に使用しているほど視読が速く正確である、などの結果が得られた。若齢看護師,中齢看護師,高齢看護師のVDT作業における視読認知特性が解明され、今後の看護情報教育、看護情報管理に有用な知見を得ることができた。

キーワード(Keywords)

若齢看護師、中齢看護師、高齢看護師、VDT、視読性
Young nurses, Middle-aged nurses , Aged nurses,Visual Display Terminal,Readability

精神看護学実習に重症心身障害者施設見学実習を取り入れた効果と今後の課題
An effect and the future problem of the Psychiatric Nursing Practice to visit to Severe Handicapped person institution

松永智子、吉岡喜美代
Tomoko MATSUNAGA,Kimiyo YOSHIOKA
元純真短期大学
Junshin College

概要(Abstract)

本研究では、A看護専攻科(5年一貫教育)2年生17名を対象に、重症心身障害者施設見学実習を取り入れ、その実習の成果と課題を明らかにし、今後の効果的な精神看護学実習を行うための基礎資料とすることを目的とした。精神看護学実習前後に調査票を用い調査を行った。重度心身障害者施設見学実習を組み入れたことにより、学生の精神障害者に対する、認識が変容し、コミュニケーションに対する不安が減少し、その結果、大半の学生が、精神看護学実習では比較的緊張をせずに対象とコミュニケーションがとれていた。実習の1ヶ月前に見学実習を組み入れたことで、学生の記憶が新しいうちに次の精神看護学実習に入れたことは効果的であり、学生のモチベーションを高める実習ができたと示唆される。

キーワード(Keywords)

重症心身障害者施設、見学実習、精神看護学実習、看護学生
Severe handicapped person,institution visitation practice,psychiatric nursing practice,nursing student

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