学会誌

  • Home
  • 学会誌
  • 第32号No.2

『日本医学看護学教育学会誌』第32号No.2(2024年 1月 1日発行)

特別寄稿 看護技術の可能性 -その変遷の歴史をふまえて- 川嶋みどり
特別寄稿 時代に沿った医療職教育と地域社会の健康増進 藤井徹也
原著 看護師長からみた副看護師長に必要とされるレジリエンス 小林麻衣
原著 統合実習での学びが新人看護師に及ぼす影響
―看護学生から新人看護師への縦断的面接調査―
三谷理恵,澁谷幸,關戸啓子,香川秀太
報告 がん終末期にある意思疎通が難しい在留外国人療養者に対して訪問看護師が抱える困難 古川智恵
報告 看護学生の授業にアニメーション動画を用いる効果の検討
―科目「生活援助技術」の単元「食事援助技術」の学生評価から―
児玉裕美,大村由紀美,松井聡子,野村あす美,荒木維子,大水あずさ,増山純二,辻慶子
学会記事 日本医学看護学教育学会日本医学看護学教育学会会則
日本医学看護学教育学会誌投稿規程

看護技術の可能性 -その変遷の歴史をふまえて- The Future of Nursing Art: Based on the History of Transition

川嶋みどり
Midori Kawashima
医療法人財団健和会 臨床看護学研究所
Institute of Clinical Nursing Research of Kenwakai

時代に沿った医療職教育と地域社会の健康増進The education of medical professionals and health promotion of local communities in line with the times

藤井徹也
Tetsuya Fujii
豊橋創造大学 保健医療学部 看護学科
Toyohashi Sozo University, School of Health Sciences, Department of Nursing

看護師長からみた副看護師長に必要とされるレジリエンスResilience Required of a Chief nurse from the Perspective of Nurse Managers

小林麻衣
Mai Kobayashi
千里金蘭大学看護学部
Faculty of Nursing, Senri Kinran University

概要(Abstract)

目的:看護師長からみた副看護師長に必要とされるレジリエンスを明らかにすることである。

方法:複数の副看護師長と働いた経験のある看護師長11 名を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した。

結果:副看護師長に必要とされるレジリエンスは,9カテゴリが抽出された。カテゴリは【副看護師長として直面する困難な状況でもしなやかに考えられる力】【自身が置かれている境遇を適切に把握する力】【協働する人や患者と良い関係を築ける力】【自部署の問題解決に向けて上手く調整する力】等であった。

結論:看護管理者として最初の職位である副看護師長には,困難な状況でもしなやかに考えられる力が必要である。副看護師長は,自身が置かれている境遇や副看護師長としての困難への対応力を適切に認識する力を養い,協働する人と信頼関係を構築し,橋渡し役として直面する問題を解決へと導くよう調整・推進する力を養う必要性が示唆された。

キーワード(Keywords)

:レジリエンス,副看護師長,質的記述的研究
Resilience,Chief nurse,QualitativeDescriptive Research

統合実習での学びが新人看護師に及ぼす影響
―看護学生から新人看護師への縦断的面接調査―Influence of Learning in Integrated Nursing Practicum on New Graduate Nurses: A Longitudinal Interview Study from Students to New Graduate Nurses

三谷理恵¹,澁谷幸²,關戸啓子³,香川秀太⁴
Rie Mitani¹,Miyuki Shibutani²,Keiko Sekido³,Shuta Kagawa⁴
¹ 兵庫医科大学看護学部,² 神戸市看護大学,³ 宝塚医療大学和歌山保健医療学部,⁴ 青山学院大学社会情報学部
Hyogo Medical University,²Kobe City College of Nursing,³Takarazuka University of Medical and Health Care,⁴Aoyama Gakuin University

概要(Abstract)

 統合実習での学びが新人看護師にどのように影響するのかを明らかにするため,看護学生から新人看護師に縦断的半構成的面接調査を実施し,質的記述的分析を行った。看護学生10 名の語りから,統合実習での学びは【看護チームで連携して看護を提供する姿勢】【多忙な中でも患者を優先し看護を実現していく大切さ】【退院後の生活を見通した看護に対する理解の深化】【退院支援の現実の難しさと調整の実際】【他部門・多職種との具体的な連携方法】【看護組織におけるマネジメントの理解】であり,意義は【看護師になる心構えの形成】【自分が目指す看護の明確化】【看護実践を支える制度・仕組みを俯瞰的に捉える機会】【看護職の働き方に対する考えの拡大】【新人看護師のサポート体制の実感】【経験豊富な看護師の実践の凄さへの驚き】【就職希望病棟看護師への親近感】であった。新人看護師5 名の語りから,統合実習での学びが新人看護師に及ぼす影響は,【看護チームの一員として働いていく姿勢】【退院後も続く患者の療養生活を意識した看護の提供】【多様な患者背景を受容し看護する姿勢】【看護提供を実現するための制度・システムへの理解】【多様な看護活動の場の体験を経て描く将来像】【統合実習での体験を活かしきれない思い】が明らかとなった。統合実習は看護職への準備性を高める機会であるとともにキャリア教育の機会になり得るとの示唆を得た。

キーワード(Keywords)

統合実習,新人看護師,学び,キャリア教育,縦断調査
Integrated nursing practicum,new graduate nurses,learning,career education,longitudinal study

がん終末期にある意思疎通が難しい在留外国人療養者に対して訪問看護師が抱える困難Difficulties encountered by home care nurses with communication-challenged foreign residents having terminal-stage cancer

古川智恵
Chie Furukawa
聖泉大学
Seisen University

概要(Abstract)

 本研究の目的は,がん終末期にある意思疎通が難しい在留外国人療養者に対して訪問看護師が抱える困難を明らかにすることである。訪問看護師15 名に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した。分析の結果,【異文化による死やケアに対する慣習の違い】,【利用できる情報を得る手段の未整備】,【これまでの経験がうまく活用できずラポールに至らない不消化感】,【活用しきれない社会のシステム】,【言葉の壁を越えられないもどかしさ】の5カテゴリーが生成された。訪問看護師は,がん終末期にある在留外国人患者のケアで【異文化による死やケアに対する慣習の違い】を感じ,わかりやすいコミュニケーションをとる手段を模索するが,【活用しきれない社会のシステム】や【利用できる情報を得る手段の未整備】にある現状に直面している。訪問看護師は,限られた訪問看護の関わりの中でなんとか良いケアを実施したいと考慮するが【言葉の壁を越えられないもどかしさ】に苦悩し,【これまでの経験がうまく活用できずラポールに至らない不消化感】を抱えていることが明らかとなった。

キーワード(Keywords)

がん終末期,在留外国人療養者,訪問看護師,困難,意思疎通が難しい
terminal stage cancer,foreign resident,home care nurse,difficulties,communication-challenged

看護学生の授業にアニメーション動画を用いる効果の検討 ―科目「生活援助技術」の単元「食事援助技術」の学生評価から―Study on the effect of using animated videos in classes for nursing students: Perspectives from student evaluations of the meal support technique unit in the lifestyle support techniques subject

児玉裕美,大村由紀美,松井聡子,野村あす美,荒木維子,大水あずさ,増山純二,辻慶子
Hiromi Kodama,Yukimi Omura,Satoko Matsui,Asumi Nomura,Yuiko Araki,Azusa Omizu,Junji Masuyama,Keiko Tsuji
令和健康科学大学 看護学部
Faculty of Nursing,Reiwa Health Science University

概要(Abstract)

 A大学看護学部では,判断力,臨床実践力の養成を目的に独自の教材として,「臨床実践中心型カリキュラム」を構築し授業を展開している。学生は新人看護師役としてバーチャルの世界で学習することを前提に,看護の対象者を中心としたストーリーの中で授業が進められる。この授業は,臨床で起こりそうな場面をアニメーション動画で視聴して,看護について学生自ら考えながら学習できる設計である。本研究では,「臨床実践中心型カリキュラム」に則った授業を展開し,授業にアニメーション動画を用いる効果について学生へのアンケート結果から検討した。A大学看護学部の1年生で,科目「生活援助技術」の単元「食事援助技術」の講義,演習すべてに対面で参加し研究参加の同意が得られた41 名を分析対象とした。アニメーション動画を用いることについての自由記述をBerelson の内容分析に基づき質的帰納的に分析した。学生はアニメーション動画を視聴することで【臨床場面の理解の促進】ができ,【看護の学習理解の促進】につながるとともに,【内発的動機付けの促進】ができていた。臨床現場の知識がない学生であっても,アニメーション動画を通してバーチャルの世界で新人看護師として看護実践の場に身を置き,適切な看護について考えることは,看護の学習理解や動機付けにつながると考えられ,看護学部の授業にアニメーション動画を用いることの効果が示唆された。

キーワード(Keywords)

看護学生,授業,アニメーション動画
nursing students,classes,animated videos

学会誌の一覧

第33号

第32号

第31号

第30号

第29号

第28号

第27号

第26号

第25号

第24号

第23号

第22号

第21号

第20号

第19号

第18号

第17号

第16号

第15号

第14号

第13号

第12号

第11号

第10号

第9号

第8号

第7号

第6号

第5号

第4号

第3号

第2号

第1号