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『日本医学看護学教育学会誌』第26号No.3 (2018年3月 1日発行)

精神および療養病床で勤務する看護師の首尾一貫感覚とストレス反応との関連
Relationship of SOC with occupational stress reaction among nurses in psychological and recuperation wards

吉田えり 1、山田和子 2、森岡郁晴 2
Eri Yoshida 1, Kazuko Yamada 2, Ikuharu Morioka 2
1 森ノ宮医療大学保健医療学部看護学科、2 和歌山県立医科大学大学院保健看護学研究科
1 School of Nursing, Faculty of Health Sciences, Morinomiya University of Medical Sciences, 2 Graduate School of Health and Nursing Science, Wakayama Medical University

概要(Abstract)

精神的健康を良好にする個人要因である首尾一貫感覚(Sense of Coherence: SOC)の発達に、職業経験が重要視されている。業務内容が異なると、SOCの特性が異なる可能性がある。本研究は、精神および療養病床で勤務する看護師のSOCの特性とSOCとストレス反応との関連を明らかにすることを目的とした。

対象者は精神および療養病床で勤務する女性看護師129名(A群)であった。一般病床で勤務する女性看護師のデータベースから、A群の年齢層に合わせ、44歳以下を系統抽出した135名を対照者とした(B群)。調査内容は、属性、SOC-13、職業性ストレスなどであった。SOCと心理的あるいは身体的ストレス反応との関連は、重回帰分析(stepwise変数選択法)で検討した。

A群では、SOC-13の平均値は、総得点、把握可能感、処理可能感が有意に高く、心理的ストレス反応は有意に低かった。重回帰分析の結果、両群とも心理的ストレス反応には、同時に採択された変数で補正してもなお、SOC総得点が有意な独立変数であった。A群の心理的ストレス反応には把握可能感が、B群の心理的ストレス反応、身体的ストレス反応には処理可能感が有意な独立変数であった。

精神および療養病床で勤務する看護師のSOCは、一般病床で勤務する看護師より高く、一般病床で勤務する看護師と同様、心理的ストレス反応と関連していた。

Objectives: The sense of coherence (SOC) is one of the factors which make the mental health good, and develops by vocational experience. In case of the different kinds of work, there is a possibility that SOC is dif ferently developed. The aims of this study were to clarify SOC and its relationship with stress reactions in nurses working in psychological and recuperation wards.

Methods: One hundred twenty-nine female nurses working in psychological and recuperation wards (subjective group) took part in a questionnaire survey. One hundred thirty-five female nurses working in general wards of an advanced treatment hospital were extract from a database as the control group. Their ages were matched to those of the subjective group with 5-year age ranks at the ages of 44 or less. The question items were basic attributes, SOC, Brief Job Stress Questionnaire and so on. To examine the relationship between the SOC and stress reaction, a multiple linear regression analysis (stepwise method) was performed with psychological or somatic symptoms, as the dependent variable.

Results: The total score of SOC and two subscales of SOC, Comprehensibility and Manageability, were signif icantly higher in the subjective group. Psychological symptoms were better in the subjective group. There were significant relationships between the total score of SOC and psychological symptoms in the both groups, even when adjusted for the factors adopted in the regressions. Among the three subscales of SOC, omprehensibility showed significant relationship with psychological symptoms in the subjective group. Manageability showed the significant relationship with psychological and somatic symptoms in the control group.

Conclusions: The SOC was higher and the stress reaction was lower in nurses working in psychological and recuperation wards. The SOC was related to the psychological symptoms in such nurses as well as in nurses working in general wards.

キーワード(Keywords)

精神および療養病床、首尾一貫感覚、ストレス反応、看護師、重回帰分析
Psychological and recuperation wards, Sense of Coherence: SOC, Stress reaction, Nurse, Multiple linear regression analysis

宿泊滞在型癒しのヘルスツーリズムにおける就労者の自律神経活動への効果The Effect to Autonomic nerve activity of the working men on Staying model Healing health tourism

藤田小矢香、山下一也
Sayaka Fujita, Kazuya Yamashita
島根県立大学出雲キャンパス
The University of Shimane

概要(Abstract)

成人就業者に癒しのヘルスツーリズムに参加してもらい、自律神経系に及ぼす影響について科学的検証を行った。その結果、ヘルスツーリズム開始前・終了後のストレス評価として、筋硬度計、唾液アミラーゼ値、唾液抗酸化力のすべての項目で有意差はなかった。きりつ名人を使用した自律神経機能検査では自律神経活動を示す安静時CVRRでヘルスツーリズム終了後に有意に低下していた(p < .05)。さらに副交感神経機能を示す安静ccvHFはヘルスツーリズム終了後で有意に上昇していた(p < .01)。主観的指標として気分プロフィール得点は、尺度得点において「怒り-敵意(AH)」、「混乱- 当惑(CB)」、「抑うつ-落込み(DD)」、「疲労-無気力(FI)」、「緊張-不安(TA)」得点はヘルスツーリズム前よりヘルスツーリズム後において有意に得点が低かった(p < .01 ~ .05)。反対に「活気-活力(VA)」、「友好(F)」はヘルスツーリズム前よりヘルスツーリズム後において有意に得点が高かった(p <.01 ~ .05)。被検者は本ヘルスツーリズムにより、副交感神経活動が有意に増加し、ネガティブな感情がポジティブな感情に変わっていた。調査結果から1泊2日の癒しの本ヘルスツーリズムは心身の健康維持、気分転換に有効であると考える。

キーワード(Keywords)

就労者、自律神経機能、唾液アミラーゼ、気分プロフィール
Working men, Autonomic nerve activity, Salivary Amylase , Profile of Mood States Second Editon

一般病棟における終末期がん患者の看護に対する困難度とスピリチュアルケアの実態調査
Investigation of Current Condition of Care by Nurses and Difficulty degree for the nursing of the Cancer Patients at the End of Life in Japanese General ward.

狩谷恭子
Kyoko Kariya
いわき明星大学
Iwaki Meisei University

概要(Abstract)

本研究は、緩和ケア病棟が設置されていない一般病棟の看護師が、終末期にある患者のスピリチュアルペインのケアをどのように行っているのか、また、終末期にある患者の看護でどのようなことに困難を感じているのかを調査し、一般病棟の看護師が捉えるスピリチュアルケアのニーズと課題を明らかにすることを目的とした。調査は、300床以上の急性期一般病院2施設で終末期がん患者のケアを実践している看護師120名を対象に、属性、終末期がん患者のケアに対する困難感、スピリチュアルケアの実践について、無記名自記式質問紙調査を行った。その結果、111名から回答を得(92.5%)、終末期がん患者のケアに対して殆どの看護師はかなりの困難を感じていることがわかった。その内容は、患者と家族とのコミュニケーションの困難、看護職の知識・技術についての困難、自分自身への対処についての困難であった。さらに、スピリチュアルケアについてはほとんど実践されていないことがわかった。以上の結果から、一般病棟の終末期患者のQOLの向上には、スピリチュアルケアの実践教育が必要であることが示唆された。

キーワード(Keywords)

一般病棟、終末期がん患者、スピリチュアルペイン
the End of Life Cancer patient, Spiritual pain

一次予防を目的とした高齢者介護予防教室の運動効果
Effect of exercise in elderly people at the preventive care classroom for primary prevention

平松喜美子、川瀬淑子、林健司、吉川洋子、山下一也
Kimiko Hiramatsu, Yoshiko Kawase, Kenji Hayashi, Youko Yosikawa, Kazuya Yamashita
島根県立大学
The University of Shimane

概要(Abstract)

研究の目的は、生活機能の維持・向上をめざした健康づくりや疾病予防のために実施している一次予防事業の一つである介護予防教室の効果を運動面から評価することである。 

対象者は70歳〜 89歳(平均77.18 ± 5.21)までの高齢者16名である。既往歴は16名中10名(66%)が高血圧で内服治療を行っている。在宅で生活する高齢者がミニ講話(生活習慣病)に加え運動療法などを実施することにより、転倒を防ぎ身体機能の向上に効果が得られたのか、介護予防教室開始前と6ヶ月後の体組成および骨量の変化で評価した。

介護予防教室開始前と6ヶ月後で有意差が認められたのは3変数で、6ヶ月後に内臓レベルと体脂肪率は増加し、骨量は低下していた。一方で、開始前と6ヶ月後の関係性をみると、6ヶ月後に筋肉量と脚点が増加した人の割合が多くなった。

対象者の年齢や既往症を考慮し、運動の負荷を強度にしなかったために体組成や骨量に変化がなかったと思われる。

キーワード(Keywords)

一次予防、介護予防教室、運動、体組成、骨量
Primary prevention, Care prevention classroom, Exercise, Body composition, Bone quantity

成人看護学実習前・実習中における自己健康管理モニタリング状況と看護学生の生活背景との関連性
The self-health care monitoring situation during the training before adult nursing adult-nursing practice and association with the life background of the nursing student

酒井博子 1、小林美智子 2、坂口由紀子 1
Hiroko Sakai 1, Michiko Kobayashi 2, Yukiko Sakaguchi 1
1 日本医療科学大学保健医療学部看護学科、2 東京医療学院大学保健医療学部看護学科
1 Nihon Institute of Medical Science, 2 Tokyo Health Sciences

概要(Abstract)

【目的】成人看護学実習前・実習中の看護学生の自己健康管理モニタリング状況、看護学生の生活背景との関連性を明らかにする。
【方法】看護大学3年生83名を対象として、実習開始前と実習終了時(実習中の状況)に成瀬の「自己健康モニタリング測定度」と生活背景について質問紙調査を実施した。分析はStatcel4(2016年)、SPSS(ver.23)を使用した。実習前と実習中での比較、生活背景との関連をMann-WhitneyのU検定で比較した。
【結果】分析対象は実習前56名、実習中63名であった。実習前と実習中で自己健康管理モニタリング因子得点を比較した結果、「食生活の健全性」において有意差が認められ、実習前の方が実習中に比べて高値であった。生活背景との関連では、アルバイト・運動習慣・健康への気づかいの程度・飲酒・現在の健康状態で有意差があった。BMI・睡眠時間・家族形態・内服薬では有意差がなかった。
【結論】学生は自分の生活や体調管理をどのように行うか、実習中の生活を実習前にイメージすることが重要であり、実習中も「食生活の健全性」が保てる具体的な指導が必要である。

キーワード(Keywords)

自己健康管理、モニタリング、成人看護学実習、生活背景
self-health care, monitoring, adult-nursing practice, life background

回復期脳血管障害患者と配偶者2事例に対する家族機能改善を図る看護介入
Practice of nursing intervention in the improvement of family function for a convalescent cerebrovascular disorder patient and his spouse: Two Case Studies

梶谷みゆき 1、古城幸子 2
Miyuki Kajitani 1, Sachiko Kojo 2
1 島根県立大学、2 吉備国際大学
1 The University of Shimane, 2 Kibi International University

概要(Abstract)

退院支援や在宅療養支援における家族看護介入の手法の開発が待たれている。本研究の目的は回復期脳血管障害患者と配偶者に対する家族機能改善を図る看護介入プログラム(試案)の効果と課題を事例研究で検討することである。60代と70代の夫婦2事例に対し感情の安定化と現状認識の客観化を図る3回の面談を基軸とする看護介入プログラム(試案)を展開し、Family Assessment Devic(e以下、FADとする)を用いてその効果を評価した。

その結果、介入前と比較すると家族機能の全体的なバランスや意思疎通、情緒的干渉、行動制御において家族機能の改善が認められた。課題として、患者と配偶者における、情緒的反応性に対する介入強化や配偶者(妻)の家族機能の全般的な改善を図る必要性が明らかになった。

キーワード(Keywords)

脳血管障害、家族看護介入、FAD(Family Assessment Device)、ナラティブ アプローチ、事例研究cerebrovascular disorder, family nursing, intervention, FAD, narrative approach, case study

"しま"の医療を担っている看護者の「目配り・気配り・心配り」と地域連携
Practice of nursing and community cooperation for the medical care in a solitary island

吾郷美奈恵 1、三島三代子 2、石橋鮎美 1
Minae Ago 1, Miyoko Mishima 2, Ayumi Ishibashi 1
1 島根県立大学看護学部、2 元島根県立大学看護学部
1 The University of Shimane Faculty of Nursing, 2 ex The University of Shimane Faculty of Nursing

概要(Abstract)

本研究の目的は"しま"の医療を担っているA病院看護者の「目配り・気配り・心配り」による看護実践と特徴を明らかにし、離島で働く看護職の地域連携について検討することである。

「目配り・気配り・心配り」ができていると認める看護者4名の各勤務をマンツーマン方式で非交流的観察により調査した。その結果、"しま"唯一の有床病院であるA病院の「目配り・気配り・心配り」による看護実践として、544のコードが抽出でき、124サブカテゴリ、19カテゴリに整理できた。また、それらは3つの概念【いろいろな所に注意を行き届かせる】【手抜かりがないようにする】【患者のために思いやりの心を働かせる】として説明できた。また、地域連携に主に該当するカテゴリは《他機関と連携》で、専門医のいる病院、患者の入所施設、薬や用具の取扱店、患者の居住地の自治体、警察や消防と連携し、看護者は生活全般に注意を行き届かせていた。

A病院の看護実践である124サブカテゴリの必要性を、同一県本土の施設に所属する看護者40名で確認した結果、経験年数は概念【いろいろな所に注意を行き届かせる】を構成する8サブカテゴリ、過疎地域か否かでは3つの概念の9サブカテゴリで有意差を認めた。また、30%以上が必要ないと回答したのは、3つの概念の17サブカテゴリで、"しま"の看護実践としての特徴と考えられた。

"しま"の医療を担うA病院では、看護職が地域全体と連携して地域医療を支えている現状が推察された。

キーワード(Keywords)

看護実践、地域連携、過疎地域、離島 practice of nursing, communitycooperation, underpopulated area, solitary island

糖尿病をもつ母親が母乳育児を継続できた理由
The reason why mother with diabetes was able to continue breast feeding

藤原由美 1、三瓶まり 2
Yumi Fujihara 1, Mari Sampei 2
1 松江赤十字病院、2島根県立大学
Matsue Red Cross Hospital 1, The University of Shimane 2

概要(Abstract)

糖尿病をもつ母親の母乳栄養実施率は、糖尿病をもたない母親に比べて低いことが報告されている。そこで本研究は母乳育児を継続できた糖尿病をもつ母親を対象に母乳育児を継続できた理由を調査し、糖尿病をもつ母親の母乳育児確立のための支援について検討することを目的として質的記述的研究を行った。研究対象者は母乳育児を2か月以上実施し、母乳育児終了後も1年程度糖尿病で通院していた13名の母親で、1.母乳育児に対する思い、2.母乳育児の経過、3.母乳育児を続けるために行ったこと、4.母乳育児を続ける上で家族に支援を受けたこと、5.家族以外に支援を受けたことについて30分から1時間の半構成的面接を行った。その結果、継続できた理由について60のコードを抽出し、【母乳育児を続けたかった】、【母乳を与え続けた】、【母乳分泌のための食事管理を行った】、【血糖コントロールができた】、【家事・育児の負担を減らした】、【支援してくれる人がいた】の6つのカテゴリーを生成した。糖尿病をもつ母親が母乳育児を継続するためには、母乳育児に意欲を持つこと、直接授乳や搾乳を含めて母乳を与え続けること、良好な血糖コントロールができること、社会的資源を活用して家事・育児の負担を減らすことが重要であることから、これらを支援するケアが必要であることが示唆された。

We investigated the reason why mother with diabetes was able to continue to take care of her baby with mother's milk, and a purpose of this study is to examine the way of support for the mother with diabetes to continue to take care of her baby with breast feeding. This study was performed on 13 mothers who carried out breast feeding on her baby more than two months and were treated for diabetes for one year after the childbirth. Interview research on the 13 mothers was carried for 30 minutes or one hour with question about the reasons why the mother was able to continue the breast feeding. The question was asked about such categories as 1.thought on breast feeding, 2.progress of the care of baby with breast feeding, 3.key performance in order to continue taking care of baby with breast feeding, 4.good support by family to continue taking care of baby with breast feeding, and 5.good support by persons except the family to continue taking care of baby with breast feeding. The results could extract 60 cords and generate such 6 answer categories as followings: [I wanted to continue breast feeding], [I considered that supportive environment for breast feeding was the first], [I performed meal management for breast feeding], [I was able to control the blood sugar concentration], [I reduced a burden of housework and child care] and [I was given a good supportive environment]. Based on these results, it is suggested that the following performances were important in order to continue the breast feeding for the mother with diabetes: To find a motivation to perform breast feeding soon after the pregnant period. To provide a nursing instruction for breast feeding and breast care to continue breast feeding with milking treatment after childbirth. To perform meal and blood sugar management to keep blood sugar level well. To support mind and body to make breast feeding well.

キーワード(Keywords)

糖尿病、母親、母乳育児 diabetes, mother, breast feeding

児童・思春期精神科病棟における困難な状況下での看護師の感情体験
Analysis of emotional experiences of nurses facing difficult situations in psychiatric wards for children and adolescents.

大森眞澄、石橋照子
Masumi Omori, Teruko Ishibashi
島根県立大学
The University of Shimane

概要(Abstract)

本研究の目的は、児童・思春期精神科病棟で勤務する看護師が困難な状況場面で、どのような感情体験をしているのかを明らかにすることである。児童・思春期精神科看護の経験年数が3年以上の女性看護師6名に、半構成的インタビューを実施し、質的帰納的に分析した。結果、6のカテゴリ【子どもの言動に対する当惑感】【子どもを脅かすという不安の払拭】【特別な子どもだと思える関係性】【受けもちとしての重責感】【子どもの求めに応じきれなさ】【規範を重んじる】と17のサブカテゴリが抽出された。児童・思春期精神科看護では、【子どもの言動に対する当惑感】を抱くが、強い受けもち意識がはたらき、徐々に【子どもを脅かすという不安の払拭】がみられた。この子どもは、特別な存在だと思える感情が沸き立つことで【特別な子どもだと思える関係性】の構築に繋がっていた。一方で、子どもの問題行動がエスカレートする場面を目の当たりにして、【受けもちとしての重責感】になっていた。また、看護師は、【子どもの求めに応じきれなさ】という割り切りや、病棟では【規範を重んじる】ことが子どもを守ることにも繋がるという認識をもっていた。これらの感情体験は、母子関係の投影や子どもの精神の発達過程と密接な関係を示すと考える。そのため看護師が自己洞察を深め、子どもと看護師の間にどのような感情体験があるのかを検討することによって、治療的な対人関係の進展が可能になることが示唆された。

キーワード(Keywords)

感情体験、児童・思春期精神科病棟、看護師 emotional experience, psychiatric wards for children and adolescents, ward nurses

精神障がい者のエンパワメント支援を学ぶための教育プログラムの検討
-社会復帰施設でのフィールド学習における学びの分析から-
Study of educational program to learn empowerment support of mentally disabled people -from the analysis of learning in field learning at the reintegration facility-

石橋照子、大森眞澄、松谷ひろみ
Teruko Ishibashi, Masumi Omori, Hiromi Matsutani
島根県立大学
The University of Shimane

概要(Abstract)

本研究の目的は、精神障がい者が利用する社会復帰施設でのフィールド学習から、学生が何を学んだのかを明らかにし、精神障がい者のエンパワメント支援を学ぶための教育プログラム作成に向け、基礎データを得ることである。

研究対象者は、看護系大学3年生で研究協力の得られた79名である。フィールド学習後に学びのレポートに記載された自由記載方式の感想部分をベレルソンの内容分析を用いて分析した。学生には感想を研究データとして使用する旨を伝え、了解の得られたデータを使用した。

分析の結果、402記録単位の学びを抽出でき、①精神障がい者のもつ力の理解、②地域生活を支える場・人、③自己の振り返り、④希望を支援する関わり、⑤社会・日常生活能力を高める関わり、⑥生活者としての理解、⑦精神障がい者のつらさの理解、⑧啓発活動の必要性、⑨関係性の構築、⑩精神症状への関わり、⑪看護師としての自覚の11コアカテゴリが抽出され、学生の学びは多元的でその内容は多岐にわたっていることがわかった。

結果の検討より、社会復帰施設でのフィールドワーク学習は、学生に精神障がいを抱えながら地域で生活する精神障がい者の全人的な理解を提供すると共に、エンパワメント支援について学ぶことができるものであり、学習援助型の患者教育ができる人材育成のための教育プログラム作成に向け活かすことのできるデータであった。

キーワード(Keywords)

精神障がい者、社会復帰施設、エンパワメント支援、患者教育、教育プログラム mentally disabled, social reintegration facility, empowerment support, patient education, education program

認知症予防の遠隔料理教室に"LiveOn のWeb会議システム"と"Skypeシステム"の活用と評価
Remote cooking class for the prevention of age-related cognitive decline by LiveOn web conferencing system and skype use

山下一也1、平松喜美子1、 加藤節司2
Kazuya Yamashita 1, Kimiko Hiramatsu 1, Setsushi Kato 2
1 島根県立大学看護学部、2 社会医療法人仁寿会加藤病院
1 The University of Shimane, Faculty of Nursing, 2 Jinjukai Kato Hospital

概要(Abstract)

島根県の中山間地で"LiveOnのWeb 会議システム"と"Skypeシステム"を活用して、認知症予防のための遠隔料理教室を行い、両者のシステムの比較を行った。"LiveOnのWeb会議システム"では画像の鮮明度、映像、音声、通信の安全性などほぼ全ての面で優っていたものの、"Skypeシステム"による遠隔料理教室の構築は簡便で初期費用、維持費用など安価であり、インターネット環境が整った公民館などで行う小規模で、比較的簡易な料理教室では十分に使用できることが証明された。

Comparing and evaluating LiveOn web conferencing system and skype, we conducted remote cooking classes in the mountainous area in Shimane prefecture. Although LiveOn web conferencing system was superior in almost all aspects, such as image clarity, video, audio, and communication safety, building a remote cooking class with skype is very inexpensive, such as initial cost and maintenance cost. Skype can be used sufficiently in small scale cooking classes done in community centers etc. with the internet environment.

キーワード(Keywords)

LiveOn,skype,遠隔料理教室,中山間地 LiveOn web conferencing system, skype, remote cooking class, mountains area

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