21世紀の医学看護学福祉学教育への提言 | 塩飽邦憲ほか |
精神看護実習における効果的な指導を考える ―学生の実習初日の不安を解消する関わり― |
竹下裕子ほか |
医学生の臨床看護実習による認知・態度領域での教育効果 | 松原峰子ほか |
開心術後リハビリテーションプログラム実践による効果と問題点 | 古居須美江ほか |
障害者参加による介護福祉士教育の試み | 伊藤智子ほか |
母性看護学での事例学習に演技を取り入れる試み | 前田隆子ほか |
小児病棟における中堅看護婦に対する新任教育 | 太田桂子ほか |
地域看護学における学生主体型教育プログラムの展開 | 島田洋子ほか |
生活習慣病増加に対応した栄養士教育の課題 | 乃木章子ほか |
卒後2年目看護婦の病棟における継続教育(1) ―看護理論や事例検討による個別指導― |
樽井惠美子ほか |
卒後2年目看護婦の病棟における継続教育(2) ―チームカンファレンスを指導場面として― |
増原清子ほか |
医学生の早期医学体験学習における看護婦の役割の検討 | 矢田昭子ほか |
第1期介護福祉実習の教育評価 | 芦矢京子ほか |
成人・高齢者看護学実習における学生の不安に関する研究 | 佐藤和子ほか |
受持看護方式の改善と評価 | 倉増真由美ほか |
精神神経疾患患者ケアのための客観的病態把握 ―病態指標としての尿中糖蛋白の動態とその教育的応用― |
食見忠弘ほか |
医療英語教材の問題点 ―言語文化的視点からの考察― |
田中芳文 |
看護学生の食生活の実態と健康状態 | 吉田真奈美ほか |
病院ボランティア「ハーモニー」の組織化 | 住田佳子ほか |
社会経済および疾病構造の急速な変化により世界各国で医療福祉システムの改革が急務となっている。このシステム改革に対応したヘルスワーカー養成のための医学看護学福祉学教育改革も同時に進行しつつある。第9回医学看護学教育学会学術学会シンポジウムにおいて、21世紀の医学看護学福祉学教育に求められる課題と本学会の役割について市民、行政、福祉、看護、医療の多様な立場から議論した。医療福祉の効率性確保のために、主に科学的な根拠に基づいた医療・看護・福祉の実践をめざしてEvidence-based Medicineや医療経済学などの導入が急がれる。また、日進月歩する科学技術や多様化する市民ニーズに対応する専門性を磨くために、自己学習能力や自己変容能力が重要と考えられる。このため、これらの能力育成に適している問題解決型教育やコミュニティを基盤とした実践的教育方法の確立が課題と考えられる。さらに、共感性、コミュニケーション能力、アドボカシーやエンパワーメントを支援する能力、基本的人権への鋭敏性などの態度・能力育成も課題となっている。本学会の市民を含めた学際的特長を生かして、21世紀の医療福祉を展望したヘルスワーカーの自己変容を教育研修によって促進する使命を持っていると考える。
教育システム、質の保障、パターナリズム、問題解決型教育
学生は、精神看護実習において、主に看護の基盤になる対象の理解と人間関係の基礎を学んでいる。しかし、学生は精神障害を持つ患者と"関わる"ことに不安を抱いており、特に実習初日は不安が大きい。そこで、学生の不安緩和に効果的な臨床指導者の関わりについて、島根県内の看護学校学生を対象に実習初日に自記式質問票により調査し、内容分析の手法を用いて分析した・学生の自由記載から、効果的な実習指導者の関わりを、①実習のイメージ化を容易にするオリエンテーション、②安心できる関わり、③患者と関わりやすい場設定、④看護観や患者との関わりモデルの提示、⑤実習目標到達のための実践的助言の5つにまとめた。学生の不安は、実習目標の理解を深めて患者の気持ちの理解を困難にすることから、学生が感じている不安の緩和または不安を学びの動機づけとすることが精神看護実習において効果的な指導になると考えられた。
精神看護実習 実習導入 効果的な実習指導
島根医科大学6年生の臨床看護実習において、1)医療チームにおける看護の役割・機能の理解、2)体験学習により医療者としての基本的技術・態度の獲得を教育目標にした。実習前後にアンケート調査を行い、学生の用いた言語表現の変化から認知・態度領域における学習効果を評価した。医学生は、体験自習により看護の重要性、看護の役割の明確化など認知領域の学習効果が認められた。看護婦と行動を共にし、患者の人間性を基盤とした看護展開に触れたことで、医療者としての基本的姿勢を考える動機づけとなったと考えられる。患者の体と心の悩みを癒す全人的医療の展開のために、1年生から6年生まで態度養成のための一貫したカリキュラムを確立することが重要と考えられる。
医学生 臨床看護実習 看護機能 認知態度
心臓リハビリテーションは、①心疾患により低下した身体的、精神的機能を高め、活動時の自覚症状の軽減(デコンディショニングの是正)、②冠危険因子を是正し、動脈硬化の進展を遅らせ、再梗塞や突然死の防止(二次予防)、③早期の復職を促進し、快適で質のよい社会生活維持の援助(QOLの向上)の3つの目的で行われる。心臓術後1ヵ月程度の入院期間が標準と言われる我が国で、当院の術後在院日数は、1996年で平均50.8日と長かった。そこで、安全かつ積極的に離床できることを目的にした開心術後リハビリテーションプログラムを作成した。術後の離床を進める心機能評価指標として、心筋酸素消費量(PRP)を用いた。その結果、①積極的かつ安全に離床でき、②患者の闘病意欲の喚起と不安の軽減、③早期離床を達成できた。
心臓リハビリテーション 開心術 リハビリテーションプログラム
高齢者、障害者(児)の「介護」を担う専門職である介護福祉士の養成が開始され11年が経過した。国際医療福祉総合学院出雲校は、1998年に地域のニーズに応えて開学したが、教育方法には未確立の部分が多い。これからの介護福祉士には医師、看護婦を始めとしたヘルスマンパワーと同様、倫理性、コミュニケーション能力、問題解決能力が求められる。今回、学生が障害者を家庭訪問し、障害者との対話を通して、知識のみならず、倫理性、コミュニケーション能力、問題解決能力の育成を志向した問題解決型教育プログラムを試みた。53.5%の学生が、この教育プログラムによって障害をもっていても当たり前の生活を求めて努力している障害者に感動し、障害者観を変容させたため、本プログラムが介護福祉教育の強い動機づけとなることが示唆された。しかし、問題解決思考に基づき、生活ニーズとネットワークを学んだ学生は15.4%であった、その要因としては、5-6人の学生が1家庭を訪問することから他の学生への依存による問題意識の未形成、コミュニケーション技術の未熟さ、授業時間不足が考えられる。家庭訪問ロールプレイによるコミュニケーション技術の修得、グループ学習のチューター制導入、ゆとりのあるカリキュラムづくりが必要である。また、介護技術修得のための施設実習中心の介護福祉士養成カリキュラムを再検討し、利用者にとっての施設と地域・家庭の相互関連を学び、これからの介護を志向できる教育カリキュラムづくりが今後の課題である。
介護福祉 問題解決型学習 障害者参加 チューター制 グループ学習
看護学科2年次学生の臨床実習開始前に、母性看護の対象、事例の状況と必要な看護が理解できること、および学生の主体的な学習態度を養うことを目的に、模擬事例の看護をグループワークし、発表会を実施した。発表では看護の一場面を演技させた。本報告では、グループワークと演技による発表の効果を質問紙法で調査した。協調性、積極性、事例の状況の理解および自主的学習の意義を実感できることの到達度は84%以上であった。主体的な学習の意義の実感と事例の状況理解、事例の状況理解と協調性との関連傾向が認められ、協調性は基礎学力との関連が示唆された。発表を視聴した学生におけるそれぞれの事例の看護理解は70%で、発表グループによる差が認められるものの、良好であった。
母性看護学 事例学習 演技
小児看護は新生児期から思春期までと幅広い発達段階を考慮しながら、観察し適切なケアを選択しなければならない。小児病棟に転属した中堅看護婦(看護経験3年以上)は、小児特有の専門性に適応できず、不安や自己否定を起こすことが多い。そこで、小児病棟に転属してきた中堅看護婦を対象に、不安の程度と内容を聞き取り調査した。不安の程度は、転属後3ヵ月で最も強く、観察の視点、知識技術の未熟さ、家族ケアの困難さをあげていた。クリティカル・シンキング思考に影響する不安原因を検討したところ、問題解決に必要な分析力、思考への自信の欠如が関係していた。そこで、カンファレンスにおいてクリティカル・シンキングの向上を目標に、転属前の看護経験や小児病棟での新しい経験を基に、問題が生じている根拠の言語化を指導した。その結果、転属後3年で、問題解決能力や看護技術能力が高まり、看護展開が容易になるとともに看護の達成感が高まった。問題解決能力の向上に、カンファレンスによるクリティカル・シンキングが有効であることが示唆された。
中堅看護婦 新任教育 クリティカル・シンキング 問題解決能力 カンファレンス
徳島県立看護専門学校では、変化する社会ニーズに対応した地域看護学教育のために、学生主体型地域看護学教育プログラムおよびコミュニティを基盤とした問題解決能力型教育方法の確立を試みている。この教育方法を評価するために、学生の自己評価(形成評価)を行った。教育プログラムの改善では、科目の内容と配置を見直し、学生主体で地域看護学教育が進められるよう講義・演習・実習を結合させた。1990-1998年に実施した教育プログラムの改善を、教育目的、教育方法、学習者概念をフレームワークにして3段階に区分した。保健婦教育プログラムを統合するコア科目と位置づけている地域看護学概論演習は、学生主体のグループ学習、学習発表、外来講師のまとめ講義から構成されている。終了時(1月)および卒業時(3月)に学生(24名)を対象に無記名、自己記入式で学習自己評価調査を実施し(回収率100%)、教育目標への到達度や学習効果を分析した。地域看護学概論演習終了時の学習満足度は、まとめ講義では大変良42%、良50%、普通8%と評価が高く、やや不良および不良はなかった。教育目標到達度と学習満足度では、「地域看護」「住民参加」「自己学習」間に有意な正相関を認めた。自己学習能力育成は、講義・演習・実習を結合した学習者主体・コミュニティ基盤型教育、チュータ制導入の結果と考えられる。今後の教育プログラムの改善と評価方法について、参加型行動研究の観点から考察した。
主体型教育 地域看護学教育 自己評価 自己学習能力 参加型行動研究
食および栄養をめぐる社会環境の変化、生活習慣病の増加等により、栄養士の役割は大きく変化している。これまでの栄養士は集団給食管理にかかわる割合が多かったが、21世紀の栄養士には、生活習慣病に対する予防と治療のための栄養評価と食行動変容に関する能力が問われている。このため、卒前教育では修業年限4年の管理栄養士養成が主となり、医学・栄養学などの科学技術の急速な進歩への対応、チーム医療への参画、福祉・介護分野への対応、豊かな人間性の教育が強く求められている。島根県立島根女子短期大学家政科食物専攻では、修業年限2年で栄養士を育成してきたが、修業年限4年の管理栄養士要請へのリフォーム、生活習慣病に対する予防と治療のための栄養評価と食行動変容に関する能力強化が課題になっている。人間とその環境の相互関係と多様性を多面的にアプローチする生態学的人間栄養学を目標とした教育および研究システム改革の課題を明らかにした。
生活習慣病 栄養評価 食行動変容 管理栄養士育成 生態学的人間栄養学
日本における継続看護教育は、院内集合教育プログラムによることが多く、病棟内での小グループ教育や自己学習教育の促進が遅れている。看護婦の生涯教育においては、2年目の看護婦の個別指導が重要である。島根医科大学附属病院2病棟において病棟婦長が2年目の看護婦の学習ニーズをアセスメントし、学習ニーズに合わせた個別指導を行った。2年目の看護婦の学習ニーズアセスメントにより、A病棟ではオーランドの「看護の探求」の理論学習により、B病棟では2年目の看護婦の受け持ち患者に関する事例検討による月約1回の教育を行った。両病棟とも自己評価・他己評価により2年目看護婦の看護実践能力に向上が認められた。2年目看護婦は、個別教育の後、専門誌購読、図書館利用など自己学習の行動変化が見られるようになった。それが病棟全体の学習意欲に影響を与えたが、学習方法が閉鎖的であったため他の看護婦の行動変容までには至らなかった。今後は病棟婦長はむしろ指導者育成を行いながら、病棟内の段階的な後輩指導、プリセプター制度を2年目看護婦教育に拡大したカンファレンスなどの看護業務の中でのOn the job training、院外研修、自己学習を結合した継続看護教育体制の整備が課題と考えられる。
継続看護教育 個別指導 学習ニーズ 理論教育 事例検討
新卒者継続看護教育に比べて、卒後2年目の看護婦教育は自主性にまかされることが多い。我々は卒後2年目看護婦の病棟での指導の必要性を痛感し、個別指導を試みた。指導場面は、スタッフの看護観が明らかになり、問題解決法等の学習に適したチームカンファレンスとした。当病棟2年目看護婦2名を対象に婦長がカンファレンス場面を捉えて、個別看護、自己の看護観の確立を目標に指導した。カンファレンスの意義、参加方法等を伝達指導後、指導計画の修正をしながら指導した結果、指導期間後期1/3になって2年目看護婦の発言が増加しはじめた。また、自己・他己評価により、カンファレンスでの発言の増加、受け持ち患者の情報収集、アセスメント、看護過程展開などに向上がみられた。婦長の病棟での積極的な指導介入が、指導対象者の成長を促すと共に、病棟全体の学習意欲にも影響を与えたと考える。カンファレンス場面による2年目看護婦の指導では、受持患者の限定、問題解決能力を促す質問、役割モデルの演示、発言を促す環境、司会者の協力、病棟看護婦の協力、カンファレンス外での指導との強調が重要と考えられる。婦長が学習者だけを相手に個別指導をするのではなく、スタッフが同席しているカンファレンス場面を通して指導することが、新人看護婦に多様性を増し、一方病棟全体にとってもOn the job trainingの場として有効であった。
チームカンファレンス 看護婦教育 個別指導 看護過程
島根医科大学医学部学生の早期医学体験学習(病院実習)では、患者や看護婦などから感性や倫理観に関する学習成果が期待されたほどあがっていないことが示唆されたため、実習方法の改善と病棟側の実習内容の検討が課題であった。そこで、1998年度の早期医学体験学習(病院実習)では、受け持ち看護婦と共に体験実習する方法から、2名1組の学生に病室を割り当てた患者中心の体験実習方法に変更した。医学生は患者との相互理解の難しさ、患者理解などについての記載が増加した。学習目標別記載では、1997年度に最も多かったのが看護105件(31.1%)が、1998年度47件(19.3%)に減少し、感性44件(13.2%)が74件(30.5%)に増加した。感性に関する記載の増加は、看護婦中心の実習方法から患者中心の実習方法に変更し、患者とのコミュニケーションが多かったためと考えられる。実習を担当した病棟婦長は、11人(83%)が医学体験学習を必要と回答し、「チーム医療の重要性」「医師・看護婦の役割」についての学習を強化するように提案していた。早期医学体験学習における病棟の看護婦の役割は、主体的に患者と共に体験実習できるように指導することが重要と考えられる。
医学生 早期医学体験 コミュニケーション 感性 看護婦の役割
高齢社会に対応した医療機関の再編や、介護保険の導入により、福祉スタッフの養成が急がれている。介護福祉士を養成する国際医療福祉総合学院出雲校は、2年間の教育課程で4回の実習を予定している。第1期介護福祉実習では人権尊重の態度と倫理性、コミュニケーション能力、ニーズアセスメント能力、ケアマネジメント能力、介護能力、ネットワーキング能力、福祉サービス開発能力の7教育目標と行動目標を設定した。実習終了後に、学生に教育目標と行動目標について自己評価をさせると共に、実習指導者会議において実習指導者と教員による他己評価を行った。第1期介護福祉実習では、学内講義では接することのできない障害高齢者と接することによって、プライバシー尊重、施設ケアにおける生活の質、人間尊厳について考察できた。第Ⅰ期介護福祉実習の課題として、実習前の動機づけと個別指導の強化、実習段階に応じた実習施設の類型化、各実習施設における実習内容と評価基準の格差是正が明らかになったので、事前学習システムおよび個別指導システムの改善、教員と実習指導者間のネットワーク強化を推進することが重要と考えられた。
介護福祉実習 人権尊重の態度 コミュニケーション能力
実習は、講義に比較して学生中心・問題基盤型の教育方法であるため学生の能動性を要求する。学生は実習前に不安を感じることが多いため、実習不安の軽減が重要な教育方略の課題となっている。このため、実習前後の不安を関西学院大学版 STAI(The State-Trait Anxiety Inventory)X-Ⅰ,STAIX-Ⅱ尺度調査票および不安内容について自由記載調査を行った。調査は、全実習開始前(実習開始前)、成人看護学実習の急性期看護自習(急性期看護実習)成人看護学実習の慢性期看護実習(慢性期看護実習)、高齢者看護学実習の前後に実施した。急性期看護学実習前の不安は大きく、各看護学実習終了時と全看護学実習終了(実習終了時)には低下した。不安内容では、急性期、慢性期、高齢者看護学実習とも知識が最も多かった。ついで、急性期看護実習では生活リズム、対人関係、また慢性期看護実習や高齢者看護学実習では対人関係、生活リズムの順であった。急性期看護実習と他の実習で2位以下の順位が逆転した理由は、学習内容に起因すると考えられる。対人関係の難しさは、患者やその家族、学習を支援する看護婦、指導者、学生グループメンバーとの関係や学生の生活背景などが関係していた。このため、学生は。講義成果を能動的・体験的な学習への応用に加えて、対人関係成立の課題達成が求められるために、不安が増強されていることが明らかになった。不安の中でも適応や予測の可能な不安は学習効果を高めるとともに、この成功体験によってさらに困難な学習課題に向き合う態度を形成すると考えられる。指導者は学習ガイダンスにおいて、実習不安を予測可能な学習課題に転化し、適応可能な程度まで不安を軽減する個別指導の重要性が示唆された。
実習不安 実習指導 成人看護学実習 高齢者看護学実習
近年医療の形態は大きく変化し、患者の人権・個の尊重、インフォームドコンセントや自己決定の重視、患者中心の医療の質が強く問われてきた。看護においても、質の高い心から満足いくケアが求められている。その実現に向けて、1人の患者に目を向けた「患者中心の看護」・「継続看護」をめざした効果的な看護方式が各施設で模索されている。益田地域医療センター医師会病院は開院以来、受持看護方式をとってきた。しかし、勤務時間帯のみの日替わり看護となっている場合が多い。また、現行の受持看護方式では、受持の責任が曖昧であり、患者との人間関係づくりが少ないなどの問題があった。そこで、受持看護方式の充実のために、1)受持看護婦の役割と責任の明確化、2)入院から退院までの関わりのフローチャート表示、3)学習会やカンファレンスによる研修を実施した。改善半年後に役割達成度の評価を行い、4)婦長・主任・チームリーダー・チームメンバーによる受持看護婦へのサポート強化を目的に各病棟を3チームに編成した。改善後には、受持看護婦の役割達成度は改善し、フローチャートにそった患者との関わりが展開された結果、患者は自分の受持看護婦を認知できた。受持看護方式とチーム編成の併用によって、1人の患者について入院から退院まで継続看護の提供を可能とするシステムを確立し、受持看護婦の責任明確化と意識向上の実現を可能とした。
看護の質 患者中心の看護 受持看護方式 チーム編成
尿中に排泄されているアルファー1-ミクログロブリン(α1M)とウリナスタチン(UT)は、肝臓・腎臓に機能障害を持たない精神神経疾患患者において疾患特有の量的相関性を示す。この両物質の関係を変化させる要因解析から得られる情報は精神神経疾患での客観的な病態把握と患者のケアを進める上でも役立つと思われる。今回、その基礎的研究として両物質の尿中量的関係への男・女の性、年齢、食事の影響を健常なヒトで検討した。健康な青年男女(20-33歳)の随意尿において、α1M量、UT量および両物質の量的相関性に男女差を認めなかった。また、壮年(35-53歳)、初老(55-66歳)、老年(73-90歳)での随意尿中のα1MとUTの量的相関性には群間差異を認めなかった。更に、健康な成人3名について、それぞれの朝食、昼食、夕食後の随意尿中のα1M量、UT量を検討したところ、朝食後の両物質量値は昼食、夕食後より高く、食事内容が異なるにもかかわらず昼食後と夕食後の量値間には差が認められなかった。一方、両物質の量的関係を示す回帰直線の勾配値は朝食、昼食、夕食後とも各人に特有のほぼ同じ値を示した。これらの成績は尿中のα1MとUTの量的相関性に性、年齢、食事内容の差異は影響を及ぼさないこと、各人は一定の両物質の量的関係を持っていることを示しており、精神神経疾患患者での両物質の量的相関性の大きな変化に病因や病態が密接に関与していることがうかがえる。
病態指標 精神神経疾患 アルファー1-ミクログロブリン ウリナスタチン ヒト尿
医療教育や看護教育のプログラムの中の英語科目で使用されるテキストの問題点について、具体例をあげながら検討し、テキスト作成においては「ことばと文化」の面からの考察が必要であることを指摘した。
attending physician CCU PICU floor nurse office nurse
社会情勢の変化をうけて、食生活は急激に変化している。社会の変化に敏感である若年者の食生活には、多くの問題があり、健康障害が懸念されている。患者の食生活を指導しなければならない看護婦の養成課程にある看護学生も、食生活の変化に伴う多くの問題を抱え、健康状態の悪化が懸念される。看護学生の食生活と健康状態をアンケート調査し、一人暮らしの学生では食生活に問題が多いことが明らかになった。学生の健康症状と食生活には有意な相関を認めなかった。学生は健康的な食生活に関する知識は有しているが、炊事能力や時間的余裕を有しておらず、一人暮らしの学生では健康支援環境に課題が多いことが示唆された。学生による保健委員会活動や教育カリキュラムでの食生活に関する健康学習、寄宿舎食堂を利用した栄養バランスのとれた食事の提供などが必要と考えられた。
看護学生 食生活 看護教育
島根県立中央病院では、1999年8月の開院準備が進められている。「医療の主人公は患者さん」を基本理念として、患者や地域住民の立場に立った医療実践、地域から信頼される病院づくりをめざしている。診療支援を目的にした病院ボランティア組織「ハーモニー」を結成した。島根県立中央病院医療相談科が院内関係者と調整し、メンバー募集、基礎的知識・技術の研修のためのボランティア養成講座開催を行った。ともに学び、刺激しあい、自己成長につながる活動をめざして、組織づくりの成果と課題を報告する。
ボランティア 病院ボランティア ボランティア活動