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『日本医学看護学教育学会誌』第32号No.1(2023年 7月 1日発行)

原著 新生児訪問における産後1か月以内の褥婦の唾液アミラーゼ値と日本語版エジンバラ産後うつ病質問票得点との関連 川下菜穂子,池田理恵
原著 壮年期の死生観に関連する男女別要因 澄川和子,吾郷美奈恵
その他 産後1~3か月の初産婦が母乳育児を行う上で経験した困難 植田恵,三瓶まり
その他 看護基礎教育で学生がベッドメーキングを学習する意義の文献検討 熊谷桂子,真鍋由希,龔恵芳,堀口利辺佳
学会記事 日本医学看護学教育学会 令和4年度 総会議事録
日本医学看護学教育学会会則
日本医学看護学教育学会誌投稿規程

新生児訪問における産後1か月以内の褥婦の唾液アミラーゼ値と
日本語版エジンバラ産後うつ病質問票得点との関連 Association between Salivary Amylase Levels and the Japanese Version of the Edinburgh Postnatal Depression Scale Scores of Puerperants within 1 Month after Delivery:Measurements Performed during Home Visits for Newborns

川下菜穂1,2,池田理恵3
Naoko Kawashita1,2, Rie Ikeda3
1新見公立大学健康科学部,2神戸大学大学院保健学研究科,3和歌山県立医科大学保健看護学部
1 NiimiUniversity, Faculty of Human Health Sciences,2 Kobe University, Graduate School of Health Sciences,3 Wakayama Medical University, School of Health and Nursing Science

概要(Abstract)

目的:本研究は産後うつ病の発症時期に関わることができる新生児訪問に着目し,産後1か月以内の褥婦の唾液アミラーゼ値と日本語版エジンバラ産後うつ病質問票(以下,EPDS)得点との関連を明らかにすることである。

方法:本研究は相関関係検証研究である。2017 年1月~10月に,研究協力の同意が得られた,産後1か月以内の褥婦68人を対象とし,自己記入式質問票を用いて,対象の属性,EPDSを調査し,唾液を採取し,唾液アミラーゼ値を測定した。EPDSと唾液アミラーゼ値は記述統計を行った後,Pearsonの相関係数を算出した。

結果:EPDS 合計点の平均は4.4(SD ± 3.4),唾液アミラーゼ値の平均は32.0kIU/L(SD ± 22.6)であった。唾液アミラーゼ値とEPDS 得点には,合計点ならびに「項目2,3,7,8,9,10」との間に相関を認めた。特に「項目7.不幸せな気分なので,眠りにくかった」r=0.51,P<0.05)とやや強い正の相関を認め,「眠りにくい」と感じる頻度が多いほど唾液アミラーゼ値は高くなっていた。

キーワード(Keywords)

エジンバラ産後うつ病質問票, 唾液アミラーゼ,新生児訪問
Edinburgh Postnatal Depression Scale,Amylase, In the home-visit

壮年期の死生観に関連する男女別要因Factors Related to Adults' View of Life and Death by gender

澄川和子1,吾郷美奈恵2
Kazuko Sumigawa1,Minae Ago2
1出雲市立総合医療センター看護部,2島根県立大学大学院看護学研究科
1 Izumo City General Medical Center Nursing Department,2 Graduate School of Nursing Science The University of Shimane

概要(Abstract)

目的:男女別に壮年期の死生観に関連する要因を明らかにし,ACPの推進にむけて検討する。

方法:健康診断を受けた者を対象に,臨老式死生観尺度,自身の延命治療や臓器移植の意思表示の状況とACPの認知,属性や背景について,無記名自記式アンケート調査を行い,壮年期(40~64歳)の854名(男53.6%,女46.4%)を分析対象とした。

結果:男性の定期受診をしている者や介護経験がある者は[寿命観]が高かった。女性の介護経験がある者は[解放としての死][死への関心]が高く,死別体験がある者は[解放としての死][死への関心]に加えて[寿命観]も高かった。一方,男性の延命治療を希望しない者や臓器移植の意思表示をしている者,ACPを認知している者は[死への恐怖・不安][死からの回避]が低かった。女性の延命治療を希望しない者は[死への恐怖・不安][死からの回避]が低かった。また,女性のACPを認知している者は[死からの回避]が低く,[人生における目的意識][死への関心]が高かった。最終学歴や職種は男女とも関連していたが,居住形態との関連は認めなかった。

考察:壮年期の死生観には介護や死別体験が関連しており,延命治療の希望や臓器移植の意思表示として確認できる。ACP の認知とも関係があり,介護や死別体験を共有できる場やACPを考えることができる機会を設けることで,死生観を醸成できると推察された。

キーワード(Keywords)

死生観,壮年期,アドバンス・ケア・プランニング(ACP),死別体験,介護経験
death attitude inventory,mature stage,Advance Care Planning(ACP),bereavement,caregiver experience

産後1~3か月の初産婦が母乳育児を行う上で経験した困難Difficulties of breastfeeding experienced by primipara mothers at postpartum 1 to 3 months

植田恵1,三瓶まり2
Megumi Ueda1,Mari Sampei2
1島根県立大学,2福島県立医科大学
1 The University of Shimane,2 Fukushima Medical University

概要(Abstract)

目的:産後1~3か月の初産婦が母乳育児を行う上での困難を明らかにし,母乳育児を継続するための支援について考察する。

方法:7名の初産婦を対象に母乳育児に関する困難について半構成的面接を行った。

結果:初産婦の語りから母乳育児を行う上での困難は【十分な母乳分泌量が確保できなかった】【状況の変化に合わせて授乳方法を変えることができなかった】【直接授乳量が足りている判断ができなかった】【乳房・乳頭トラブルによる苦痛があった】【母親の体調不良時に授乳するのが辛かった】【食事や内服による母乳への影響を心配し生活を制限した】【授乳と家事・育児の両立が上手くできなかった】【いつも通りの授乳ができないため外出が苦痛だった】【助産師や家族の対応で母乳育児の意欲が低下した】【母乳育児の支援が活用できなかった】の10カテゴリーであった。

結論:助産師は産後1~3 か月の初産婦の母乳育児で抱える10 の困難を理解し,家庭訪問時や産後検診等でスクリーニング・評価することによって具体的な継続支援ができる。

キーワード(Keywords)

母乳育児 困難 初産婦 産後1~3か月
breastfeeding, difficulty, primipara,postpartum 1 to 3 months

看護基礎教育で学生がベッドメーキングを学習する意義の文献検討Significance of Learning Bed-making for Students in Basic Nursing Education: Literature Review

熊谷桂子1,真鍋由希2,龔恵芳3,堀口利辺佳4
Keiko Kumatani1, Yuki Manabe2, Keihou Kou3, Ribeka Horiguchi1
1大手前大学,2藍野大学,3関西大学大学院
1 Otemae University, 2 Aino University, 3 Graduate School of Kansai University

概要(Abstract)

 看護基礎教育でベッドメーキングを学習することは旧来より続いているが,現場で実施されている方法と教育機関で学ぶ内容には乖離が生じている。本研究では,看護学生がベッドメーキングを学習する意義について,文献をもとに考察することを目的とした。検索データベースには医中誌Web,CiNii,最新看護索引Web を用い,「ベッドメーキング」をキーワードに検索した計506件の中から,本研究の趣旨に沿う7件を分析対象とした。ベッドメーキングを通じて学生が得た学びに関する記述を抽出した結果,【根拠に基づく知識・技術と練習は両輪であるという理解】【看護の中心は対象者であることを納得】【看護学生としての成長に繋がる仲間の存在と内省】の3つのカテゴリーに集約できた。ベッドメーキングにおける学生の学びは,自己の技術向上,実施に対する達成感を得る段階を経て,徐々に対象者への視点転換ができるようになっていた。また,他者と協働しながら技術を学ぶ中で学生は看護に対する関心を高めており,看護基礎教育におけるベッドメーキングの学びは意義が大きく,今後も必要不可欠な学習であることが示唆された。

キーワード(Keywords)

ベッドメーキング,看護基礎教育,看護技術,看護学生,環境調整技術
bed-making, basic nursing education,nursing skills and techniques, nursingstudent, skills to manage the patient's environment

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