| 原著 | プリセプター経験のある看護師が有する看護継続教育における教育観とその形成への影響 | 石田 陽子,澁谷 幸 |
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| 原著 | 実習指導者による看護学生のレディネス把握の様相 | 米島 望,岩根 直美 水田真由美 |
| 報告 | 実習指導者が「当院に就職してほしい」と思う看護学生の特徴 | 平谷 優子,伊瀨 薫 |
| 報告 | 看護学生が認識する学修を促進する小児看護学実習支援 | 平谷 優子,伊瀨 薫 |
| 報告 | 社会的孤立・孤独状態の人々を支援する地域医療職の道徳的苦悩に関する文献検討 | 髙橋 愛海,杉本なおみ |
| その他 | 臨床実践中心型カリキュラムにおける課題中心型学習の有用性の検討 -看護学部2年生後期の精神看護学援助論の授業評価- |
増山 純二,苑田 裕樹 児玉 裕美,齋藤 嘉宏 辻 慶子 |
【目的】
プリセプター経験のある看護師が有する看護継続教育における教育観とその形成に影響した経験を明らかにした。
【方法】
半構造的インタビューによるデータを質的記述的に分析し,カテゴリ,サブカテゴリを導いた。
【結果】
研究参加者は11名(25~27歳)。看護継続教育における教育観は【患者中心の看護実践に繋げていけるような指導を心がける】【新人の心身をサポートできるような関わりを大事にする】【指導する者として新人と共に成長する姿勢を意識する】【新人が自律した看護師となるように育てる】の4カテゴリであった。教育観の形成に影響した経験は【過去の教授-学習経験】【先輩から学んだ教育実践】【新人から気付かされた指導する者としての心構え】【プリセプター支援者との関わりからの実感】の4カテゴリであった。
【考察】
プリセプター経験のある看護師が有する看護継続教育における教育観は, 新人看護師への指導方針や指導姿勢に関する教育観であった。それらは新人看護師が主体的に学び続けるように関わるという教育観へと発展し, 看護師としての成長にも繋がっていた。また, その教育観は自身が新人時代に受けた師長の支援や先輩看護師の教育実践が影響しており, 教育観の形成に繋がる学習は新人看護師の時から始まっていると言える。このため, プリセプター経験のある看護師の看護継続教育における教育観の形成には, 部署全体が看護継続教育に取り組む姿勢が影響する。
プリセプター 教育観 看護継続教育
Preceptor, Educational belief, Continuing education in nursing
【目的】
実習指導者が臨地実習を行う看護学生のどのようなレディネスを把握しているのかを明らかにし,実習指導者支援への示唆を得る。
【方法】
2年以内に実習指導経験がある看護師10名を対象に,実習中に把握している学生のレディネスについて半構成的面接を行い,質的記述的研究の分析手法を用いて分析した。本研究では,「臨地実習を遂行するための看護学生の発達的・学習的・態度的・社会的準備性」をレディネスと定義した。
【結果】
実習指導者は臨地実習を行う学生のレディネスとして【患者との円滑な関係の構築状況】【患者の個別性を捉えたアセスメントの進捗状況】【患者中心の看護実践状況】【実習における学生の心身の状態】【実習指導者による指導に対する学生の受容状態】【学習課題における取り組み状況】の6 つを把握していた。
【結論】
実習指導者は臨床の教育者・実践者として,実習期間中,継続して個々の学生の学習の進捗状況の把握に加え,看護専門職に必要な能力の査定も行い,学生の学習成果を捉えていることが明らかになった。学生の学習課題に合わせて低次の目標の達成状況から確認するなど,順序性を考慮してレディネスを把握していることが示唆された。今後の実習指導者支援として,学生が看護専門職として実習での学びを深めて成長をしていくためのレディネスを把握していけるよう,教育の機会やリフレクションの機会の確保が求められる。
実習指導者,看護学生,レディネス,質的記述的研究
Key Words:clinical instructor, nursing students, readiness, qualitative descriptive research methods
【目的】
実習指導者が「当院に就職してほしい」と思う学生とはどのような学生か,その特徴を質的に明らかにすることを目的とした。
【方法】
看護系大学の実習を受け入れている病院の実習指導経験のある看護師10 名に半構造化面接を実施した。
【結果】
実習指導者が「当院に就職してほしい」と思う学生として,【看護職としての資質がある学生】【看護提供の前提となる態度が身についている学生】【看護を展開するための能力を備えている学生】【看護の道を志す学生】の4カテゴリーが明らかになった。
【結論】
実習指導者は,看護を展開するための能力や態度の他に,看護職としての資質や看護職への志向という視点から優れていると評価できる場合に「当院に就職してほしい」学生であると表現していることが分かった。このような学生を養成するために,感性を育てる関わりや学生が看護師の魅力を感じることができるような実習体験を提供することが重要である。
臨床実習指導者,看護学生,看護基礎教育,半構造化面接調査
clinical instructors, nursing students, nursing education, semi-structured interview
【目的】
看護学生が認識する学修を促進する小児看護学実習支援を明らかにすることを目的とした。
【方法】
看護系大学の小児看護学実習を履修した学生に半構造化面接調査を実施し,質的帰納的に分析を行った。
【結果】
看護学生が認識する学修を促進する小児看護学実習支援として,【学生の小児看護実践を後押しする支援】【学生の小児看護の計画立案を手助けする支援】【学生の小児看護の学修機会を設定する支援】【学生の課題解決に役立つ支援】【学生と人的資源をつなぐ支援】【学生の学修意欲が維持できるようにする支援】の6 カテゴリーが明らかになった。
【結論】
教員や実習指導者は,学生の困難やニーズの具体的な内容に応じて,6 つの支援の組み合わせや選定,支援の程度を判断し,その学生にあったテーラーメイドな方法で学生を支援する必要性が示唆された。
看護基礎教育,小児看護学実習,支援,看護学生,半構造化面接調査
nursing education, pediatric nursing training, support, nursing students, semi-structured interview
社会的孤立・孤独の深刻化に伴い,孤立・孤独状態の人々を支援する地域医療職が家庭内暴力や虐待,ネグレクトなどに遭遇し,自身の信念に反する行動を取らざるを得ず,道徳的苦悩を抱えることがある。この道徳的苦悩は,バーンアウトや離職に繋がる深刻な問題にも拘わらず,日本ではまだ地域医療職の道徳的苦悩に関する実態把握と教育体制の整備が充実しているとは言い難い。この現状を踏まえ,孤立・孤独状態にある人々を支援する地域医療職の道徳的苦悩に関する文献検討を行った。「道徳的・倫理的・モラル」と「苦痛・苦悩・ディストレス・レジリエンス」をキーワードとした医学中央雑誌Web検索により日本語文献4件を,“moral distress” と“moral resilience” をキーワードとしたWeb of Science 検索により英語文献10 件を抽出した。日本語文献では,治療・ケアの提供,患者・利用者の選択およびその家族,他医療職の言動が道徳的苦悩の原因として挙げられ,それに対する対処行動は消極的・受動的なものが多く見られた。英語文献では,資源不足,情報共有の困難さ,境界の曖昧さという地域医療特有の要因と,グループでの振り返りなどの対処方法が報告され,組織的支援や倫理教育の重要性が示された。この結果を踏まえ,今後日本で地域医療職向け支援・教育を検討する際には,道徳的苦悩を個人的課題としてのみ捉えるのではなく,組織的課題として可視化し,地域医療職による能動的な対処行動を促す介入が求められると考える。
道徳的苦悩,倫理的葛藤,社会的孤立・孤独,地域医療
moral distress,ethical dilemma,social isolation and loneliness,community health
This study examined the effectiveness of introducing task-centered learning (TCL) into the “Nursing Care for Patients with Schizophrenia” unit in the second semester of Psychiatric and Mental Health Nursing. The course is part of a practice-oriented curriculum developed by the Faculty of Nursing at University A. Carroll's Model of School Learning served as the theoretical framework for evaluating the educational value of this approach. A web-based survey was administered to 46 students who provided informed consent. The survey included a Cognitive Load Assessment Index (scale: 0–10) and the Japanese version of the Course Interest Survey based on the Attention Relevance Confidence and Satisfaction(ARCS) model of motivational design(scale: 1–5).
The median scores showed a low intrinsic load (IL = 2.0) low extraneous load( EL = .71) and high germane load (GL = 8.10). Among the ARCS components Attention (4.25) and Satisfaction (4.0) were high, and Relevance (3.75) and Confidence (3.67) were also relatively high. Correlation analysis indicated that IL and EL were positively correlated with each other and both were negatively correlated with GL. GL was positively correlated with all the ARCS components, whereas EL negatively correlated with each. These findings support the value of TCL in promoting deep understanding through optimal cognitive load distribution. The results also reflect improvements in instructional quality, learning comprehension and motivation factors as emphasized in Carroll's model. TCL may be a highly effective method for practiceoriented nursing education.
ID 第一原理,課題中心型学習,学校学習モデル,認知負荷理論,ARCSモデル
First Principles of Instruction, Task-Centered Learning, A Model of School Learning, Cognitive Load Theory, ARCS Model