| 報告 | 精神科訪問看護師が捉えた新型コロナウイルス感染症まん延時における精神障がい者の状況 | 早川 博子,樫葉 雅人 川村 晃右,山本 明弘 黒岩 正人 |
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| 報告 | 卒後2年目看護師が直面する1年目と2年目の看護実践のギャップが心理状態、組織適応に及ぼす影響 | 鈴木 洋子 |
| 報告 | 基礎看護学実習で患者理解を活かして全身清拭をする学修の様相 | 土澤 るり,花田 妙子 |
| 報告 | 看護学生の倫理的態度の形成プロセス ―ハンセン病施設見学後のアンケート分析を軸に― |
石津仁奈子,二瓶 映美 岩田 浩子,倉骨美恵子 小林 智里,三隅 順子 |
| 報告 | 急性期病院の内科系病棟における「高齢者の服薬アドヒアランス看護支援システム」活用上のメリットと課題・限界の検討 | 坂根可奈子,森脇 早紀 井川 優花,辻 華子 古賀 美紀,津本 優子 宮本まゆみ |
| 報告 | 看護学科1年生が地域事業への参加を通して得た学び ―事前・事後学習の記述の分析から― |
原 美鈴,河野 杏奈 山口 亜未,西 留美子 道木 恭子,柳田 徳美 |
| その他 | 看護専門学校教員がとらえるシミュレーション教育における工夫と課題 | 水谷 朱美,江口 秀子 |
【目的】
精神科訪問看護師が捉えた,新型コロナウイルス感染症まん延時における精神科訪問看護利用者(以下,利用者)の状況を明らかにすることを目的とした。
【方法】
参加者はA単科精神科病院で,精神科訪問看護業務に携わっている看護師5名とし,2022年4~5月にWeb会議サービスによる半構造化面接を実施した。得られたデータは質的記述的に分析した。
【結果】
分析の結果,52コードが抽出され,11サブカテゴリー,【新型コロナウイルス感染症まん延時でもかわらない生活】【新型コロナウイルス感染症まん延時で垣間見られた自己管理への意識】【感染対策による行動の縮小】【新型コロナウイルス感染症まん延時の過剰で不確かな情報による不安の増強】の4カテゴリーが生成された。
【結論】
訪問看護師は,利用者の多くが新型コロナウイルス感染症まん延時でも変わらない日常生活を送っていると捉えていた。一方,メディアからの新興感染症に関する情報錯綜によって不安が増強していたり,感染対策を理由とした休惰によって行動が縮小していたりする利用者もいた。長期化する新型コロナウイルス感染症まん延時において,生活を調節する利用者の姿も捉えていることが明らかになった。訪問看護師は利用者が普段通りの生活を保てるように,いち早く正しい情報の提供を行いながらも,これまでと一貫した支援を続けることが重要となることが示唆された。
精神科訪問看護師,新型コロナウイルス感染症まん延下,精神科訪問看護利用者の状況
Visiting psychiatric nurse practitioner,New coronavirus infection spreading,Situation of psychiatric home visit nursing users
【目的】
卒後2年目看護師が直面する1年目と2年目の看護実践のギャップを測定する質問紙を作成し,心理状態と組織適応に及ぼす影響を明らかにした。
【方法】
全国の300~499病床の病院に勤務する卒後2年目看護師819名に無記名自記式質問紙調査を実施した。ギャップの質問紙は先行研究を参考に項目を生成し,探索的因子分析を行った。ギャップの回答は,5段階評価で平均値が4以上をネガティブ,2以下をポジティブなギャップ,3~3.9をニュートラルなギャップとした。心理状態(GWBS;中山2002),組織適応(情緒的コミットメント;松本2017),職務満足への影響について統計学的に分析した。
【結果】
卒後2年目看護師が直面するギャップは[緊急時や予定外の対応力へのギャップ][個別性をふまえた看護ケア展開へのギャップ][自律的な仕事コントロールへのギャップ]の3因子が抽出され,平均値3.27~3.65でニュートラルなギャップであった。[自律的な仕事コントロールへのギャップ]は,心理状態(β=-.39, p<.001),組織適応のうち情緒的コミットメント(β=-.33,p<.001),職務満足(β=-.30,p <.001)が説明変数として採択された。
【結論】
[自律的な仕事コントロールへのギャップ]は,ネガティブなギャップほど心理状態が不良で,組織適応を阻害する可能性が示唆された。
卒後2年目看護師,看護実践,ギャップ,心理状態,組織適応
second year after graduation,nursing practice,gap,psychological state,organizational adaptation
基礎看護学実習において,コミュニケーションによる患者理解を活かして全身清拭をする学生の学修の様相を明らかにするために,基礎看護学実習で全身清拭を行った看護専門学校の学生10 名に,半構造的面接を実施し,質的記述的方法で分析した。学生は,患者の生きてきた背景や介助を気兼ねする様子から【自分でしたい気持ちを知ることからできそうな動作を導く】ように患者の気持ちを尊重し,患者が自ら行うことに注目して【自分でできる動作や疲れを観察して清拭の方法を決める】ことで,何を見守るか,どのように介助するかを考えていた。そして,計画通りに実施するかをケア前の情報を加えて再考し,【患者の状態や希望に合わせて清潔援助をする】ようにしていた。学生は,患者の動きに合わせて介助し,自分でできないと判断すると代わって拭くような【自分で拭けるか見極め介助する】ことをして,【自分で行える体位や疲労が軽減する体位にする】ことで,疲労を最小限にして患者が自分自身でできるように支援していた。また学生は【湯の温度を調整したり自分で拭く爽快さを提供する】というように,上体を起こして患者が自分で拭くことで爽快感が得られることを学んでいた。教員や臨床指導者は,学生が患者の苦痛の内容を傾聴して共感し,爽快感を得られるよう全身清拭の方法を工夫できるように,指導することが必要である。
基礎看護学実習,全身清拭,患者理解,看護学生
fundamental nursing practicum, complete bed bath, patient-centered understanding, nursing students
看護基礎教育において倫理教育は極めて重要である。本学部は,ディプロマ・ポリシーとして「倫理的感受性の育成」を示し,倫理関連3 科目を必修としている。その中の一つ「総合教養演習Ⅲ」では,「看護の対象となる人々の尊厳と権利擁護の理解」を深めるためにハンセン病施設見学を実施している。本研究は,ハンセン病施設見学による倫理的態度の形成プロセスについて明らかにすることを目的として,施設見学後のアンケートの記述を質的記述的に分析し,Waithe の倫理的行動の4要素をもとに検討した。
結果,人間の尊厳,権利について5カテゴリ,とるべき態度について4カテゴリが抽出された。【ハンセン病患者が経験してきた差別の理解】【当時のハンセン病政策に対する関心】は,生活の場を知ったことによる気づきや感じたことが倫理的感受性を引き出し,【ハンセン病問題を伝承しようとする姿勢】に繋がった。【ハンセン病に対する正しい知識の普及・啓発へ向けた前向きな姿勢】【人権と尊厳を遵守しようとする姿勢】は,倫理的推論として根拠をもって倫理問題であることを説明できる段階と考える。【他者の人権を尊重する姿勢】【思慮深く行動しようとする姿勢】は倫理的態度表明として倫理的思考や行動の基盤となる。さらに,倫理的判断,行動に資する【情報リテラシーを養う姿勢】の必要性についても学びを深め,【看護職としてのあるべき姿の表明】へ繋がったことが示唆された。
看護学生 ハンセン病施設 倫理的態度 看護倫理教育
Nursing Students, Leprosy Facility, Ethical Attitudes, Nursing Ethics Education
本研究の目的は,急性期病院の内科系病棟に勤務する看護師を対象に,「高齢者の服薬アドヒアランス看護支援システム」の操作体験を通して,活用によるメリットおよび限界・課題に関する看護師の認識を質的に明らかにし,本システムの活用可能性を検討することである。A急性期病院の内科系病棟に勤務する臨床経験3年以上の看護師10名を対象とし,システム操作体験後に,活用メリット,限界・課題について,半構造化面接を実施した。逐語録を作成し,回答内容について質的記述的分析によりコード化し,意味内容の類似性に基づいてサブカテゴリ,カテゴリに分類した。
その結果,活用メリットは,【服薬自己管理の全体像を捉えたアセスメントができる】【服薬支援における看護計画立案・評価に役立つ】【患者への具体的な服薬支援につなげることができる】【服薬支援に関する情報共有と多職種連携を促進できる】【看護師の服薬アセスメントの成長を支援できる】の5カテゴリ,限界・課題は,【システム入力をする時間が取れない】【初期段階での情報欠如が評価の妨げとなる】【システムへの入力内容の一貫性を保つことが難しい】【患者状況や環境によりシステム利用が制約される】の4カテゴリに分類された。以上より,本システムは急性期病院の内科系病棟において,服薬アセスメントの可視化を通じた具体的支援,多職種連携,看護師教育に寄与する可能性が示唆された。
服薬アドヒアランス,高齢者,看護支援システム,内科系病棟
Medication Adherence, Older Adults, Nursing Support System, Internal Medicine Wards
少子高齢化が進む中,地域共生社会の実現には,地域包括ケアを担う専門職としての能力に加え,地域の一員としての視点や地域活動への参画意識を育む教育が求められている。そこで2022年度,看護学科1年生の必修科目において,地域で暮らす人々や地域を支える仕組みへの関心を高めることを目的に,9つの地域事業に参加するプログラムを実施した。本プログラムは事前・事後学習を含む参加型学習により構成され,本稿では学生の事前・事後学習の記述を質的に分析した。その結果,【直接かかわって知ったリアルな当事者像】,【当事者や家族とのかかわり方に対する理解の広がり】,【支援者と事業の必要性への気づき】,【社会問題として捉え直したバリアの存在】,【多様な住民と自治体による地域づくりに関する気づき】の5つの観点が抽出された。事後学習の記述では,より具体的な活動や関係性を示す語がみられた。また,サービスラーニングの視点からは,学業的理解に加え,自己の成長や偏見への気づき(個人的成果),多様な生活者の理解(社会的成果),地域住民としての役割認識(市民性に関する成果)へと学習の効果が広がっていた。
多世代交流や生活体験の減少,コロナ禍での交流制限を経験した学生にとって,本プログラムは専門職としての成長に加え,地域活動への主体的な参加を通して地域住民の一員としての意識が育まれる契機となる点でも意義がある。
地域事業,ボランティア,大学生,看護学科1年生
community activities, volunteering, university students, first-year nursing students
本研究の目的は,看護専門学校のシミュレーション教育に焦点を当て,看護専門学校教員がとらえるシミュレーション教育における工夫と課題について明らかにすることである。研究協力が得られた12名の教員に半構造化面接を行った。シミュレーション教育を実践する教員は,【事前調整による教員間の目的・目標に沿った意思の統一】,【実習準備教育としての効果につなげる】,【リアリティの重視】,【シミュレーター,模擬患者を使い分けて実施】,【学生の気づきを引き出す】工夫をしていた。さらに学生のレディネスを高めるために,【病態生理の自己学習から事例理解を促す】工夫をしていた。
一方課題として,【時間的な制限により授業に組み込むことの難しさ】,【シミュレーションに関わる人員確保・調整の難しさ】,【効果的なデブリーフィングの実施が困難】,【シミュレーション教育の授業設計・運営の不十分さ】,【シミュレーション教育環境を整える難しさ】が挙げられた。これらの結果から,教員は限られた資源や時間的制約の中でも,学生の学びを最大化するために多様な工夫を凝らしている一方で,教育環境や運営体制に関する複数の課題に直面していることが明らかとなった。特に,看護専門学校におけるシミュレーション教育の実践には,教員の工夫と課題が密接に関連しており,臨地実習との連動,段階的な導入,領域横断的な協働といった取り組みが,教育効果を高める鍵となることが示唆された。
看護専門学校教員,シミュレーション教育,工夫と課題
Nurse educators, Simulation-based education, Strategies and Challenges